trajectory

思いついたことや考えたことの記録。ブログの目的は情報の対称化(判断材料の提示、標本収集など)です。雑記やはてブの補完なども。更新はムラあり。

午後ティー、ルミネと、三回目の標本収集。

 私(のような女)が嫌いで仕方ない人は多いと思うが、まあ、お互い様だよね。好き嫌いはしょうがない。

 ただ、お互い嫌いでも、なんとなくの好感を抱いてくださっていても、誰だこいつって感じでも、参考になる意見は助かります。

 いつもありがとうございます。ブコメ等は見えてる範囲で見せていただいてます。

ハトクロとアツギと吉野家と。 - trajectory

の続きです。

 

 「意見の内容」に反応するときはidなし、「特定の人」に反応するときはidつきで引用しています。

 

𠮷野家のやつは男女問わず大半の人が「これはあかんやろ」となってたからなぁ。「ロシアより許せないのは今の与党」並みに意見が一致。残りの二つとは全然違うでしょ。

 “それぞれのケースで問題視された問題の度合いとかはいったん置いておく。” そこ置いておいて比較できる話か疑問。ハトクロ・アツギは叱られてもしょうがないけど「生娘シャブ漬け」ほど邪悪な印象は無い。

 

 表現も露悪的に過激だし、吉野家役員の、とにかく全方位放火のイキり具合は確かに凄いですよね。そりゃすぐにでも臨時役員会開いて降ろすわと思います。飲食系に危険で汚らしいイメージがつくダメージはヤバそうだし。

 さっき記憶を辿ってブコメ等を見返していたら、吉野家ケースでも、「言論の自由」「キャンセルカルチャー」で擁護を仕掛ける人もいないことはなかったです。まあ一貫はしてる。

 

吉野家も「敵(フェミ)の敵は味方」とばかりに擁護するオタクいた。吉野家の牛丼の写真これ見よがしに上げたり「チー牛のシャブ漬けだったら笑うんだろ!」と被害妄想的なツイートがバズってたり

 あー…。いたかも。

 「チー牛のシャブ漬け」は、自分なら、チー牛とかいって人の外見を笑うなよ最低だな、と思うけど、他の人のことは分からん。でも誰も笑わない気がします。言葉を選ばず言うと、「なんか可哀想」だからです。

 

 で、吉野家役員のアカンさはアカンのですが、それだけが「違う」と感じる理由じゃないような気がするんですよね。

 で、残りの2つ(アツギ、ハトクロ)と全然違う理由が何なのかを理解したいのがきっかけで増田やブログ書いてるとこはあります。

 てか、その「𠮷」出せるの知りませんでした。単語登録もめんどいので私は「吉野家」を使いますが。

 

 ちなみに、アツギやハトクロのケースと対比が可能なのは、吉野家ケース(不特定多数の老若男女が対象客層)だけではありません。

 女性向けの商品・イベントの広告・企画が女性客から問題視され…というパターンです。

 

 たとえば、午後ティー女子やルミネです。

 これらのケースには、アツギやハトクロに見るような男性の乱入がありません。あったとしてもごく少数です。

 午後ティーケースはアツギケースにとてもよく似ています。

 共通点
  • 女性を対象とする企画。
  • 商品は安価で、全国どこでも購入でき、大抵の女性は買ったことがある。
  • 企画はイラストという絵画表現によって行われた。
  • 企画が女性客(購買層)を軽んじているとして問題視された。
 相違点
  • イラストが「萌え絵」と呼ばれる様式かどうか。
  • 男性が乱入し、声を上げた女性を「どうせ客じゃないくせに」「ババア」「フェミ」などとジャッジしたか。

 

 ルミネケースとアツギケースの場合は、こうです。

共通点
  • 女性を対象とする企画。
  • 企画が女性客(購買層)を軽んじているとして問題視された。
相違点
  • ルミネはJRの大規模な駅の近辺に立地する。行動範囲によって利用したことがない女性も多いという意味では、客が限定される。逆に、交通の便がよいため、年齢・性別問わず多種多様な客が利用する。
  • 俳優による実写映像による企画(ルミネ)と、イラストという絵画表現による企画(アツギ)。
  • 男性が乱入し、声を上げた女性を「どうせ客じゃないくせに」「ババア」「フェミ」などとジャッジしたか。

 

 午後ティーの企画では、批判者に「お前はどうせ午後ティーなんか飲まないくせに!」「フェミが!」という声は投げつけられませんでした。ルミネもです。

 アツギの場合は、「お前はどうせアツギのタイツなんか履かないババアのくせに!」「フェミが!」という声がたくさん上がりました。

 タイツがどんなものかも知らない、ただただ萌え絵の擁護に燃える男性たちからです。

 

 午後ティーケース及びルミネケースでは、速やかに企画の問題が認められ、対応されました。炎上案件として名前が上がり、言及されることはよくありますが(今まさに私がしているように)、アツギのように「変な男がまとわりついている」というイメージはありません。

 

 午後ティーケース及びルミネケースとアツギケースの違いは、「萌え絵」を使ったかどうか、そこだけです。

 

 「オタク嫌い(萌え絵嫌い)なフェミがオタクを叩いている」ところしか見えない人は、「萌え絵」が絡まない案件は目に入ってきていないのだと思います。

 

 

同時期に騒ぎになってた「たわわ」を事例から外してるのは興味深いな。非実在の女性を使った広告で顧客の大半は男性なので、記事の論理展開に不都合が生じるからだろうね。

 

 日経たわわ広告を今回事例から外したのは事実です。「不都合だからだろ」と邪推するか、「今回関係ないからかな」と捉えていただくかはご自由に。

 日経たわわケースがこれまでの類似事例と異なる特異な点は、日経新聞という「広告媒体」が問題視されたことです。この点を含めた考察は、今後のブログで触れることもあるかと思います。

 

 ちなみに、ハトクロケースのあまりにも特異な点は、自社になんの関わりもない(題材が巨乳フェティシズムの漫画と、胸の大きな女性向けの商材、という若干の接点はある)広告に代表が言及したことで炎上、なぜか「オタク陣営vsフェミ陣営」の戦場にされてしまったことです。

 おそらく、代理戦争の渦中にある代表の黒澤さんは今も何が何だか分かっておられず、ただ困惑されていることと思います。

 ハタから見てる野次馬の私にも何が何なのかよくわからん炎上だったので。

 

 

id:tomoya_edw

理解する気ゼロなら距離置いていればどうですか?顧客・当事者以外物申すな、というならあなた大概のことに口出せないですよ。その辺の歪みがあるから雑なのかな?性別一致したとしても当事者じゃないんですよ?

 

 筆者(私)への嫌悪感や苛立ちで文章が読めていないかと思います。吉野家ケースへの言及を見れば、顧客・利害関係者・当事者以外の外野が物申すことを否定していないことが読み取れるはずです。違う解釈が可能であれば、具体的にお示しください。

 

 私は吉野家を利用したことは数えるほどしかありませんが、吉野家の問題の際ははてブで何度か発言しました。

 たとえば、

受講者数十名の有料講座というクローズドな場での、抗議した女性以外には黙認された発言が外に出たって経緯でこう批判一色なのは正直意外。時代の趨勢、言葉のインパクト、飲食という分野、いろいろ重なったんだろな

nowa_s 2022/04/19 22:31

[B! 食] 吉野家、幹部不適切発言で19日の親子丼会見中止 早大は講師から解任も検討(スポーツ報知) - Yahoo!ニュース

長年培ってきたレシピや10年かけて開発したメニューが、外から来たマーケティング役員に「男に高い飯を奢られるようになったら絶対食べない」扱いされんの、たまらんな。

2022/04/18 20:05

です。こちらは現時点で★を167個いただいており、ブクマ欄のトップコメになっています。

 

 ご自身が他者を理解する気ゼロであることや、自分自身にも歪み、雑さがあるのではないかと疑ってみたことはありますか?

 id:tomoya_edwさんの精緻な評論を期待しています。

 

 私が嫌うのは、非当事者、部外者、外野の無責任や発言や茶化しではなく(つか自分もよくやってるし)、非当事者の当事者に対する「ジャッジ」です。

 「どうせ客じゃないくせに」「どうせ○○(←適当にムカつくから叩きたい属性を入れる)のくせに」「本当の●●(←適当に持ち上げたい属性を入れる)ならば」的なやつです。

 

id:ruin20 

日経新聞とたわわの客じゃないバカフェミが乱入して大暴れした件をさっそく除外してる辺り党派性に目がくらみすぎてて本当に酷い。マジでそのダブスタ癖どうにかしたほうがいいよ。

 

 で、これがジャッジです。

 私が表鬼くんと呼ぶカテゴリの標本として収集させていただきます。

 日経新聞を取る女性などいくらでもいるでしょうし(日経新聞自身、女性含む就活生や新社会人を広告ターゲットにしていたりしますね)、自分自身が講読者ではなくとも、職場や同居家族が講読者であることは当然考えられます。

 が、何かを根拠に、批判者を「客じゃないバカフェミ」「大暴れ」と鑑定しています。

 

> 追記。--

最初は読み過ごしていましたが、この人も私が日経たわわ案件に触れなかった理由を「党派性に目がくらみすぎ」と解釈しておられるようです。

 前記事では日経とたわわの話をする必要がないと思われたので外しただけですが、id:ruin20さんが日経たわわなしには語れないと考えるのであれば、ご自分で記事にされるのがよいと思います。はてなブログは無料で開始・利用できますので。

<追記終わり。-- 

 

 ちなみに、今回の件をきっかけに『たわわ』4巻は読んでみましたが、同性間のセクハラ描写が最悪でした。

 言葉・行為によるセクハラの描写自体の悪質さもですが、

 男性キャラはしおらしく、謙抑的に描いてしまったから、今更男性キャラにはさせられないこと、だけどやらせたいことを、ボーイッシュな女性キャラに実行させ、「女の子同士だからいいよね?」という免罪符にしているあたりですね。4巻の表紙自体、その場面です。

 

 もし「全ての批判者は客じゃない、バカフェミだ」としたことの判断材料があるのであれば、教えていただけると助かります。

 

 以上です。ちなみに日経新聞は講読してないです。あんまし興味ないので。

 

>--追記。2022/05/05 15:39

いつも萌え絵(という言い方も曖昧で好きではないが)好きな女性でアツギのあのPRはうちら向けだったんじゃないか?という層は無視されるのよな…。その層向け新規開拓だったのでは?という意見もあったんだよ。

 上でいう午後ティー女子は、若い女性層に人気らしいイラストレーターさんを起用してたんですよ。萌え系では全然ないんですが。

 なので、「私はこのイラストは好き」と反応していた女性も確かにいました。

 アツギの場合は、乱入男性のあまりの圧と騒音に、支持する女性層の声がかき消された面もあったと思います。

 萌え絵という語が何を指すのか、ほんと曖昧で困りますよね。

 

id:tettekete37564 

認知の歪み怖いなあ。男性とか女性という言葉を用いずに書いてみよ?

 tettekete37564ちゃんもブログ書いてみよ?はてなブログは無料だよ。

 書けたらぜひ拝読したいです。

 

追記終わり。<--

 

 

 

精神的自由の内と外。

 最近、いい質問ですね~って言いたくなる時の気持ちが分かってきた。

 そこ拾ってくれますか!ありがとうございます。みたいな。

[B! 表現の自由] はてな村のレモン市場 - trajectory

  からです。「意見の内容」への反応はid抜きの引用、「特定の人」への反応はid付きで引用しています。

 

 戸定梨香についてのまとめは、太字のとこだけ読めば大丈夫です。

 

 まず。

特定の場から排除されてもどこかで発表できているなら表現の自由は侵されていない・・・と言う発想はかなり危険じゃないかなあ。18禁とかの件も公共の福祉との兼ね合いで表現の自由が制限されている例

 

 YouTubeTwitterから永久凍結されても他のサービスを使えばいいじゃないか、宗教団体の抗議で漫画を出版社で出せなくなっても同人誌やネットで発表すればいいじゃないか、という例で考えますね。

 動画サイトとしてのYouTubeSNSとしてのTwitterの寡占に近い優位性を思えば、永久にそこに参加できない場合に活動が制限される懸念は大きいと思います。

 また、宗教団体の抗議で…というのは、言っちゃうと、幸福の科学の抗議で集英社がルポ漫画の連載を中止し、作品とその作家を守らなかった例です。2022年2月、つい最近の話です。

 職業漫画家が、原稿料や単行本の印税による収入を絶たれ、これまでの取材や既に描き上がった原稿も無駄になり、他の出版社も力の強い宗教団体に恐れをなして引き受けてくれないだろう、というのは、かなり厳しいと思います。個人の同人誌と集英社という大きな出版社では販売力や販路も全く違うでしょうし。

 この例で発表できなくなるのは作品本体です。YouTuberがYouTubeからBANされたら、作家を出版社が抗議から守ってくれなかったら、個人が表現した作品をそれまでのように発表することはかなり難しくなる。表現の自由に相当の制限がかかると思います。

 これらの例については、おっしゃるとおり、「特定の場から排除されてもどこかで発表できているなら表現の自由は侵されていない」という立場はかなり危険であり、私は取りづらいです。制限したのは公権力ではないですが、確かに個人の表現が制限されているからです。

 

 対して、宇崎ちゃんや戸定梨香の例は赤十字や警察とのコラボ案件で、本体の表現活動のおまけのようなものです。批判者による批判は広告・PRの主体である赤十字や警察に対して行われており、宇崎ちゃんの作者や出版社、戸定梨香の所属事務所に対しては行われていません。本体の活動(連載、動画公開など)を批判する気はないからです。YouTubeへの規約違反報告等もないと思います。規約違反ではないからです。本体の表現活動の状況はコラボ以前と変わらず、何も制限されていません。

 

 戸定梨香と警察の間で予定されていたというPR動画第二弾の発表については今も未定のようですが、これは発表されていないので誰も批判も支援もできません。止めているのは警察であり、批判者ではありません。この点、批判を受けて新しいガイドラインを設定した赤十字と対照的だと思います。赤十字の宇崎ちゃんコラボポスター第二弾は、第一弾の批判者にも好意的に受け止められました。

 もしそれが「表現の自由」の制限に当たるなら、それは憲法上の表現の自由とは何か別の概念なのかな、と思います。

 

 戸定梨香については、なぜか批判者(の一部であった議連)に対抗者から質問状が送られました。けれど状況は動いていませんよね。対抗者が、質問状を批判者に送るのではなく警察に送付し、抗議し、PR動画第二弾の作成・公開を要求していたなら違ったかもしれません。決定権を持つ主体は批判者ではなく、警察だからです。

 

 私は法律の専門家ではありませんが、以上の解釈に大きな誤りはないはずです。

 これは憲法という、日本国の基盤となる法律の話だからです。また、誰の活動を、誰が批判・支持するか、決定権を持つ主体は誰かという、構造の把握の話だからです。

 

 松戸警察が戸定梨香を起用した交通安全PR動画に対する批判への対抗者(これも言っちゃうと、某区議会議員と某ネット論客がメインとなった集団ですね)は、批判者の批判対象を見誤っています。

 批判者は「戸定梨香の自由な表現物」を批判したのではありません。「松戸警察のPR動画」を批判したのです。

 対抗者が「オタク嫌いのフェミがオタクのための表現物を焼いた!」というばかげた認識しか持てず、誰に対して自らの意見を主張すべきかさえ分からないなら、今後も同じような事態が繰り返されると思います。

 

 

「①男性目線のいやらしさを感じる→思う、②はっきり言って不快だ→思わない、③新聞広告としては止めるべきだ→思う」①②③が同一人の意見として並び立つの、かなり理解しづらいね。自分を偽ってない? 

 

 「自分は別に不快とは思わないけど、女子高生を男性目線のいやらしさで描いた絵で、問題だよな。日経の広告としては止めるべき」です。主観的な感情と理性的な判断は違います。

 

 感情と判断の違いといえば、逆に私は「自分もこんな広告はおかしいと思うが、表現の自由を守るために、止めるべきだとは言わない」的な考え方が理解しづらかったんですよ。

 私は「自分がおかしいと考えるなら、問題だと自由に言ってよい(言わないのも自由)。それを聞いてどうするかは相手が相手の責任において自由に判断することだ」というスタンスです。

 おかしいと思うのに止めるべきとは言わないとは…?と不思議だったのですが、おそらく、「自分が止めるべきだと言って相手が止めたら、自分が相手の表現の自由を侵害してしまう。だから止めるべきとまでは言わない」と考える人の方がずっと多いのだろうな、と最近気づきました。人の思考回路は分からないので、推測ですが。

 

 内心の自由表現の自由が直結しがちな人と、あまり直結していない人(相手の自由を予め保護するために、自分の自由を抑制する。相手も当然そうするはずと思い込む場合は、自分が何か言われると「弾圧」と捉えがち)の違いかもしれません。

 

 

id:hom_functor

規制はしたいが規制派と思われたくないし自由の範囲は私が決める、という強烈な歪みが各所にあらわれていて

 

 思われたくはないですが、規制派と思うのは当然、あなたの自由であり、私に奪うことはできません。

 で、「自由の範囲は私が決める、という強烈な歪み」とのことですが、私のいう「自由」は憲法上の自由とそんなにかけ離れていないと思うんですよ。

 「表現の自由派」の人のいう「自由」が何なのか、いつもよく分からないので、あなたの考える「自由の範囲」を教えていただけたら嬉しいです。強烈なんでしょうね。

 

 

id:aguarsan

「見ない自由」持ち出しといて表現の自由否定するってどういうセンスなんだろう

 

 私がどこで「見ない自由」持ち出してたか指摘していただけますか?他の人と勘違いしてますか? 

  あと、あなたの考える「表現の自由」の概説を教えていただけたら嬉しいです。



id:alfneet

これ言いながら「ミサンドリストからの被害はよくわかんないから」はあまりにも勝手すぎるやろ。

 非当事者が当事者を差し置いて語るのは極めて傲慢だと考えるからです。私はミサンドリストの被害当事者ではありませんので。

 その下の段落に、当事者でもないくせに当事者をジャッジする輩への怒りを吐露していたかと思います。若干分かりにくいかと思い、説明を加筆しましたが、おそらくその前にブコメを残されたんですかね。

 もし、あなたの意図が「id:nowa_sミサンドリストなのだから加害当事者として語れ」という事であれば、私のミサンドリーとそれによる他者への加害が現れた箇所を具体的に指摘してください。 

 

ハトクロとアツギと吉野家と。

 今回は短めに。


 それぞれのケースで問題視された問題の度合いとかはいったん置いておく。問題の構造、骨格の話だ。

 ある小売企業のサービス(PR企画、幹部の発言、顧客対応等)を問題視した顧客が、ネットで「もう利用したくない」などと反発。直接の顧客や利害関係者ではない外野(世論)も、各々の意見を発信した。
 顧客及び世論の反応を重く見た企業は、何らかの対応を行った。

 とてもよくある話だと思う。商品そのものの問題ではないのも同じ。
 ただ、その「何らかの対応」に至るまでの拗れ方と、「対応」後の状況が、ハトクロとアツギ、吉野家ではだいぶ違う。


 吉野家はごく一般的なパターン。すぐに決着がついた。
 吉野家は不特定多数の老若男女が対象の牛丼チェーンで、きっかけは男性幹部の発言。2022年4月16日問題発生。
 NHKの放送コードに抵触するほど性的に過激な表現、自社の商品へのプライドのなさ、常連客への蔑視が顧客及び世論に問題視され、男性幹部は4/18に処分された。
 新商品発表イベント中止など影響はあったが、幹部の処分によりとりあえず幕引きとなった。
 
 吉野家ケースでは、「もう利用しない」と発言した顧客が「どうせお前は顧客じゃないくせに」「ヴィーガンめ(?)」などと決めつけられたり、外野の無責任な発言がこれまた外野から「営業妨害」と指弾されたり、幹部の言論が「表現の自由」で擁護されたり、ということは殆どなかった。
 今はまだ客足が遠のいているかもしれないが、騒ぎは終わり、日常が戻った。


 対して、アツギとハトクロ。2つのケースはよく似ている。 
 アツギは不特定多数の女性が対象のレッグウェアメーカーで、きっかけは女性担当者のPR企画。2020年11月2日問題発生。
 ハトクロは胸の大きな女性が対象のニッチなネット専売ブランドで、きっかけは女性の代表者の発言・顧客対応。2022年4月 日問題発生。

 ともに女性の姿態を描いた「萌え絵」に絡む対応が顧客及び外野に問題視された。
 普及品とニッチ商品の違いはあるが、顧客層は基本的に女性で、男性は顧客として期待されていない。
 しかし起きたことは、「もう利用しない」と発言した女性顧客が「どうせお前は本当は顧客じゃないくせに」「フェミめ」「ジェンクレめ」と決めつけられたり、外野の無責任な発言がこれまた外野に「営業妨害」と指弾されたり、企画や発言が「表現の自由」で擁護される、ということだった。なんと、顧客ではないはずの男性から。

 アツギは女性担当者を担当から外し、企画を中止して対応するものの、いまだに新製品等の発表に「あ、アツギね…(変な男がまとわりついてるメーカーね)」と反応される。
 「アツギ」とウェブ検索しようとすると「炎上」と補完され、類似のケースがあるとこのように言及される。

 ハトクロは4/30に謝罪対応したが、その後むしろ騒ぎは大きくなっていた様子で、5/2にはブランドへの名誉毀損・営業妨害に対する法的措置を発表。誰の、どんな発言が念頭にあるのかは明言されていない。

 これって何なんだろう、という話。

  • 顧客層が女性に限定される企業の
  • 女性担当者による
  • 女性の姿態を描いた「萌え絵」の利用/言及が
  • 女性顧客に反発され(外野の女性からも同意の声が上がり)
  • なぜか男性が乱入。声を上げた顧客の思想を「フェミ」と決めつけ、「どうせ顧客ではないくせに」と当事者性を否定し、「モンスタークレーマー」と罵り、少しでも批判的な意見があれば「営業妨害」と指弾し、女性担当者の企画/発言を「表現の自由」「内心の自由」で擁護する。
  • ⇒そして混乱へ

 いちばん顧客じゃないのは、当事者じゃないのは、部外者なのは、乱入してきた男性じゃん。
 君らがタイツを履く女性や胸の大きな女性の何を知っているというのか?
 タイツは憧れのセクシーオシャレアイテムで、ババアは履かないと思っていたり(毎日履いてる防寒具だよ)、Dカップだと胸が大きくて服に困っていると思っていたり(日本人女性の26.3%、マジョリティだよ)するような男性たちが、いったい女の何を知っているというのか。

 吉野家のさらっと終わった炎上と、ハトクロ、アツギの燻ぶり方のこの違い。


 まじ何なんだろう、と思うけど、もしかして、「萌え絵(に含まれるエロ要素の濃度)」×「表象」の認識がこの混乱の原因なのかもしれない。
 自分は女を正しく認識できると驕る男性たちを呼び込み、顧客の女性をジャッジさせてしまうのは。


 今ハトクロが巻き込まれている混乱が早く沈静化し、いったん離れた従来の顧客も安心してショッピングや着画の共有ができるようになり、新規の顧客も増えるといいなと思います。
 とりあえずここまで。

      • 2022/05/05 13:40

午後ティー、ルミネと、三回目の標本収集。 - trajectory
続き書きました。よければ併せてお読みください。 

表鬼くんに絡まれたので聞きたい。

 

 

 よく分からない経緯で「オタク陣営対フェミ陣営」の戦場にされてしまった、胸の大きな女性向けのアパレルブランド、ハトクロ(Heart Closet)の代表・黒澤さん。

 

 名誉毀損業務妨害など悪質な投稿について法的措置を講じた旨、5/2にツイートされていた。

黒澤美寿希 | HEART CLOSET on Twitter: "この度、私どもに対する名誉毀損・業務妨害など悪質な投稿について、弁護士にも相談のうえ、法的措置を講じましたのでご報告いたします。"

 心労もあるとは思うが、事業を守るための勇気ある決断だと思う。

 そこまではいい。応援したい。

 

 で、そのツイートについたブクマ欄。

[B! gender] 黒澤美寿希 | HEART CLOSET on Twitter: "この度、私どもに対する名誉毀損・業務妨害など悪質な投稿について、弁護士にも相談のうえ、法的措置を講じましたのでご報告いたします。"

 私が以前に書いたブコメの魚拓とともにブクマをつけてる人がいた。曰く、

ブコメだと「巨乳集めてセクシー商売に明確に転換し、他社と差別化する」として顧客は戻らないと呪いかけてたコメは星90超え。 https://archive.ph/wEuPs

augsUK 2022/05/03 00:37

 

 ここで言及されているコメとは私のもので、

謝罪は意外。巨乳集めてセクシー商売に明確に転換し、他社と差別化するものと予想してた。巨乳大好き男子に公式で連載させてるとこだし。/「ハトクロ、生理的に無理」と離れた従来の顧客はもう戻らないだろうにね。

nowa_s 2022/04/27 08:56

 というもの。

 

 他にも、おそらく私を含む複数のidの投稿を当てこすっておられるのだろうブコメもあった。

 

"性的に見てもいいブランド路線で行くんでしょ"みたいな悪質な曲解したコメントがいくつも目について、当て擦りにしても下品で気分悪かった。どういう投稿のことかわからんけどああいうコメントがなくなるといいな。

madomad 2022/05/02 23:39

 

 この人はわりと穏当だけど、

 

まだ巨乳好きオラオラ系男の垢フォローしてたから方針転換したと思ってたみたいなブコメした腐ェミはてな姫は来てないっぽいな、震えて眠れ/あと早速ドッチモドッチーが湧いてるのも笑う

tK28fERw 2022/05/03 00:22

 

 「腐ェミはてな姫」「震えて眠れ」って、どいう意味なんですかね。なんか不穏ですね。

 

 が、私宛と確定した訳ではないので、とりあえずid:augsUKさんを名指しして、

 

id:augsUK それは私のコメですが、相応の判断材料も示した論評の範囲と認識してますよ。「呪い」って何の意味です?/はてブ内で私に投げられた言葉には目に余る物もありましたが(「豚」等)、皆さん同じ覚悟なんですね? 

2022/05/03 11:52

 

 と聞いてみた。やっぱ100文字短いわ。

 てか、4/27のブコメでは判断材料は「巨乳大好き男子に公式で連載させてるとこだし。」と言葉でしか示してなかった。リンクは他のブクマにつけてる。

 が、そう投稿した根拠はもちろんあるのだし、「方針転換するものと予想していたが外れた。しかし、いったん離れた従来の顧客はもう戻らないだろうな」という内容は、ブランドの名誉毀損・営業妨害、悪質な投稿には当たらない範囲の論評だと思う。

 

 もしこれが悪質な名誉毀損・営業妨害に該当するなら、だよ。

 牛丼チェーン・吉野家の役員による「生娘シャブ漬け戦略」「(女性は)男に高いメシを奢ってもらうようになったら来るわけない」「(男性の常連客は)家に居場所のない人」といった発言が批判され、吉野家が当該役員を解任した、という経緯の前後で、吉野家の客入りについて発言していた人たちに対して、吉野家からの法的措置祭りが起こるってことかな。

 吉野家の味は好きだったけど気持ち悪くて(男性常連客への決めつけと蔑視が酷くて)(自社の商品へのプライドのなさも感じられて)もう行かない、行けない、と発言した人たちもかな。

 それも「呪い」「法的措置の対象」になるんだろうか。

 なので、ブクマの2Fでも、

d:augsUKさん、この記事に絡めて私のブクマを取り上げた理由は何ですか?呪いとはどういう意味ですか?/1Fでも書きましたが、はてブも当然「悪質な投稿」とみなされ得ることを覚悟ということでいいですね?

2022/05/03 12:12

 

 と聞いてみた。

 なぜ法的措置を報告するツイートに絡めて私のブクマを持ち出したのか、id:augsUKさんの意図を確認したかったので。あと「呪い」の意味とか。誰に対する、どんな?

 

 100文字制限があるので言葉足らずになっているが、黒澤さんが悪質な投稿に対して法的措置を取った、というツイートを見てるはてブの人は、皆さん自分のブコメも"「悪質な投稿」とみなされ得ることを覚悟"しているのかも気になるし。

 ので、id:augsUKさん以外の人も教えてくれると嬉しいです。

 

 それはともかく。id:CocoAさんという人が、ブクマ欄に

"豚"という言葉を問題視するけど、"イナゴ"はセーフ。侮辱的に"表現の自由の戦士"という言葉を使い偏見丸出し・デタラメな考えで批判?するのはOK。

CocoA 2022/05/03 13:54

 と投稿された。「豚」、「イナゴ」「表現の自由戦士」という単語の利用、時間帯から、私に対してのエアリプ?エアクマ?的なものだろうと思われた。

 矛盾してる、とか言いたいのかな?

 

 ので、ブコメにブクマを付け、

〈私という個人〉に向かって「豚」「統失」と言うことと、〈こういう言動をする人達〉の行動をイナゴに喩え、「表現の自由戦士」と呼ぶことの違いを考えたほうがいいと思います。現行の侮辱罪の判例はご存知ですか?

nowa_s 2022/05/03 14:19

 と聞いてみた。

 

 ここでいう「豚」「統失」というワードは、5/1付記事についたブクマにあったんだよね。

[B! 表現の自由] 見えてる世界が違うこと。 - trajectory

 

自らの攻撃性を隠してアテクシこんなにも被害者なんでちゅう〜〜なんてカマトトぶってんじゃねぇよ豚が

XYXY 2022/05/02 12:56

 

アタシはかわいそうだから他者の権利を踏みにじる特権を得てしかるべき。それができない奴には共感力が足りない、って足りないのは主張する側の知能と自我境界だけだよクソボケが。統失まがいに必要なのは本人の治療

cloudhelper 2022/05/02 00:10

 

 そういう文脈です。

 

 しかし、「アテクシ」「アタシ」という、女性特有の一人称をカタカナにすることで知性を貶めるような言葉選びに滲むミソジニー、「豚」「統失」など差別意識が凄いですね。

 ★も複数ついてますね。どういう意味なんですかね、その★。

 

 そう、2ちゃん他ネットで、私(や他のオタク女性)が見てきたオタク男性って、こんな感じのがすごく多かったんだよ。

 

 匿名空間だと、誰がそうで誰がそうでないのかなんて分からない。

 で、他のオタク男性や表現の自由派(なんだよね?知らんけど)と区別をつけたい訳ですよ。

 

 

 お返事お待ちしています。場所によっては気づかないかもしれないので、この記事のブクマがいいと思います。100文字で足りない場合はコメント欄をお使い下さい。はてなidがあれば書き込める設定です。

 

追記 2022/05/03 23:22

 念の為。

 私は謝罪を求めていません。

 もし、この記事及び私のブコメの内容を「謝れと言われた」「謝罪を要求された」と認識されたのであれば、相手が書いてもいないことを読み取るのは止めたほうがいいと思います。

 謝罪は主に自己満足、保身、あるいは相手の感情の慰撫のために行われるものであり、私はあなた方による慰撫を必要としません。

 この記事の目的は、あなた方のような人の存在、実態、思考回路を明らかにし、知らしめることにあり、謝罪の要求ではありません。

 私はあなた方のような人に『表鬼くん(表現の餓鬼)』とレッテルを貼らせていただきますが、ご不満であればより相応しい自称を提示してください。確かに相応しいと思えた場合は採用させていただきます。

 ※id:madomadさんを除く。この人の場合は、その程度の当てこすり言論が法的措置によって萎縮することを容認するならば、ご自分の「悪質な曲解」「下品で気分悪かった」という発言もまた法的措置の対象となりかねないことに(おそらく)気づいておられないだけで、攻撃性や女性蔑視的な部分は薄いからです。

 

 なお、『表鬼くん』というレッテルの意図については、本日付のもう一つの記事をご確認ください。

 では。

 ※言うまでもないことですが、受忍限度を超える侮辱・罵倒があったり、私の実生活に実害が出る場合は、法的措置を検討します。ハトクロの黒澤さんもなさったように。

 

 

 

 

 

 

 

はてな村のレモン市場

5/4 15:30 若干順序を入れ替えるなどして整理&補筆。

 

 憲法記念日ですね。

 日本国憲法に謳われる、国家権力からの精神的自由(思想及び良心の自由、信教の自由、言論の自由表現の自由内心の自由、学問の自由)を、今後も大事にしていきたいと思います。

 

 前回の記事、望外に大勢の方にお読みいただき、反応もいただき、ありがとうございます。公開してみてよかったな。

 公開してみたはいいが、読み直すと説明不足だったと感じる箇所が多く、何点かは補足したのだが、大事なことが漏れていた。

 前記事の前提となるいくつかの記事にリンクを貼って済んだつもりでいたのだが、それで足りる訳がないのだ。

 id:Shin-Fedor さんとid:sametashark さんのやりとりから生まれた記事の、何に感銘を受けてブログを立ち上げたのかが書いてない。

  はっきり言葉にしないと誰にも伝わらない。1年後の自分だって覚えているかわからない。はてブはそのためのメモに使ってるとこもあるんだけど、あいにく記事に付けたブコメは違う観点からのものだった。

 改めて。

たわわ広告の件での対話と、議論が噛み合わない理由の推論【4/26追記:気になったブコメに返信しました】 - はてブの出来事

【逆視点】id:Shin-Fedor氏との議論で私が考えていたこと。 - 冷めた鮫にはヒレがある。

たわわ対話の件。お礼と感想(追記あり3) - はてブの出来事

 

 id:Shin-Fedorさんとid:sametasharkさんの、相手を一人の個人として扱い、対話する姿勢。

 もう一つ、id:Shin-Fedorさんが記事で何度も言葉を変えて表現している、「少数派で何が悪い?多数派だったら偉いのかよ」「空気を読まず水を差そう」「藁人形を叩くのはやめよう。何でもすぐ陣営の戦争にするのはやめよう。人の話を聞こう」「表現の自由は誰にとっても大事だし、誰もが性差別には反対している。全員が表現の自由戦士フェミニストだろ」という、眩しいほどまっすぐな考え方と価値観。(私の要約なので、誤読であれば失礼)

 id:sametasharkさんがアンサー記事を書いたのも、id:Shin-Fedorさんのその姿勢を見たからだと思う。勝手な代弁だけど。(全然違ったらすみません)

 

 それらによる心理的安全性がなければ、いろいろ吐露するブログは書いてなかったです。増田で満足してたかも。ので、お二人の真摯さに大変感謝しています。

 

 あと、ブコメで感想・意見等くださった方、ありがとうございます。基本、反応は鈍いですが、見えてる範囲で見せていただいてます。

 

個人的なスタンス。

 私はあの質問でいうと、

  • 男性目線のいやらしさを感じる。→思う。
  • はっきり言って不快だ。→思わない。
  •  新聞広告としては止めるべきだ。→思う。

の立場だ。

 いかにも男性向けの性的な含みがあるし、意味不明なシチュエーションのイラストだが、そこまで不快ではない。絵柄の可愛らしさのせいかな。線がキレイだし透明感がある。ただ、新聞広告としては不適切だと思う。

 

 「id:nowa_sはたわわ広告の絵を不快だと感じている」と思われた人も多かったようだが、不快ではない。引っかけるつもりはなかった。ただ、めんどくさかったというか…言い訳になるけど、idを出したブログでは先の記事が初投稿だけど、その前に増田を何本か書いてたんすよ。

 そっちで自分のスタンスをはっきり書いてたから、何度も似たようなこと書くのがダルかったというか、リンク貼ってあるし、読んでくれれば分かるかなーって。怠惰は悪徳じゃなくて美徳と思ってる口なもので……。

 まあ、私だってリンク先まで見に行かないだろうし、今後はできる範囲で引用や前提の説明を試みたいと思う。生来うっかりしているので、抜けはあると思うけど。

 反省し、引用しておきます。 

**日経たわわ広告について、

  • 男性目線のいやらしさ、男性からの性的視線を感じる。
  • 一般紙の新聞広告としては不適切だと思う。業界紙タブロイド紙、雑誌などでは問題と思わない。
  • 女子高生を性的に扱っており問題だと思う。
  • 特に不快ではない。
  • 性的な要素の水準は(一般紙の新聞広告としては)黒寄りのグレーゾーンだと思う。
  • 女の子は可愛いし、画力も高く、絵柄としてはわりと好み。
  • この話題に「表現の自由」が出てくる意味がわからない。月曜日のたわわをヤンマガで連載する事も、広告が日刊ゲンダイ週刊現代に載る事も、一般の書店で中高生が買える事も、問題ないと考える。小学生にはちょっとどうかな。ただし、法規制・行政の規制ではなく、業界の自主規制等で対応すべき。

 

  • 日経が謝罪すべきとは全く思わない。「ご不快」メソッドなら出す意味がないどころか有害だと思う。たわわ広告の全面掲載を問題視するのは「不快」云々ではない。
  • たわわと絡めず、「日経新聞社は未成年を性的に扱うことを容認しない」というメッセージを何らかの形で出してほしいとは思う。国連女性機関からの抗議については、同機関と日経新聞社の間のことなので、正直あまり興味はない。
  • ただ、「未成年を性的に扱う広告」へのスタンスを明らかにするために、日経は何らかのアクションをとってほしいと思うし、経過は気にしている。

 

  • 広告に巨乳を出すな、女子高生を出すなと言っているのではなく、広告に大きな胸の女性や少女の表象を使うなら、できるだけ性的でない描写をしてほしい。
  • 大きな胸の女性や女子高校生はそれ自体が性的アイコンという訳ではないから、「萌え絵」でない漫画やイラストでは現に性的でない描写がされている。
  • 大きな胸の女性の、性的でない二次元表象はまだ少ないので、個人的にはもっと増えてほしいと思っている。実在の人物ならそれなりにいる。「巨乳」扱いされていないだけで。
  • 漫画やアニメの中で巨乳をドエロく描くのはそれこそ表現の自由の話で、見なけりゃいい、not for meの範囲。
  • しつこいけど、広告は違う。見たくない時や場所や場合でも見える、見させられるから。

 

 そんな感じです。

 

一人一派でいいんじゃね?

 

『広告を受け手が批判・応援する』自由を否定する人はほとんどいないと思う

 

不快だという主張をやめろとまでは誰も言ってないよね

 

 それは何より。

 実際たぶん、原理主義的に極端な自由派や規制派はほとんどいない。

 差別発言や残酷描写やポルノでも一切制限されてはならないというアナーキスト的な人や、宗教的な潔癖さで子供に見せるものを制限すべきという人はあまりいない。

 いがみ合ってるように見えても両「陣営」の人々は大体よく似たあたりにいて、ただ個々の信念や体験により、些細ながらも決定的に違うところがあるんだろう。

 

自分を規制派とレッテル貼りするなと言いつつ「表現の自由戦士」はセクハラ野郎だと悪魔化するのは卑怯。

 

自分が共感しない相手には「戦士」などとレッテルを貼り、なおかつ自分は「規制派」と括られたくないというのは些か都合が良すぎる

 

 レッテルが嫌というか、まあ自分を規制派とは思わないので嫌だけど、貼られるのは仕方がない。「そんなふうに呼ばないでほしい」と言いはするけど、言われてどう対応するかなんてのはそちらの勝手だ。

 私はレッテルを細分化したい。

 たわわ広告を問題視しないのが自由派、問題視するのは規制派。それで十分な人はそれでいい。

 が、私は問題視しない人たちの中でも「えちえち巨乳女子高生の何が悪いもっとやれ」派と「正直不快だが、表現の自由を守るため、不適切とは言いたくない」派は分けて考えたいし、山谷えり子高市早苗みたいな宗教右派とは一緒にされたくない。害悪性の強いクラスタをできるだけ狭く特定したい。

 そうやって分けていくと最終的には一人一派になるが、そこまではしないまでも、ある程度使える分類ができたら便利だと思う。

 「自分はこれを大事にしたいから○○派」とひそかに自分を規定するのもありだし、他人の勝手な規定に腹を立てるのもまた一興。

 別に陣営の戦争してんじゃないんだし、一人一派でいいんじゃね、と思う。

 

オタク男性と表鬼くん。

 

オタク男性について。

 前回記事の

自らもオタク趣味を持ちながら女性が多いジャンルや表現を貶め、隠れているオタク女性を晒し上げてはおもちゃにしていた姿の記憶が強く、オタク男性へのシンパシーの低さは、

男性オタクに苛められてたこと絶対に忘れないから 追記

の増田に近い。

 には前提があって、これはShin-Fedorさんの「オタクへのシンパシー」への反応なんだ。Shin-Fedorさんはオタクにシンパシーがある。

 

 それを受けて、私はオタク男性へのシンパシーは薄い。と書いた。

 別に、非オタク男性よりオタク男性のほうが嫌いとか、軽蔑してるとか、そういうことではない。単に、オタク趣味同士という仲間意識や親近感は特に覚えないというだけで。

 オタク男性がオタク女性に仲間意識やシンパシーを持っているようにも感じない。むしろ、ずっと一段下に見られていたように思う。

 「腐女子」認定されたら三段、四段くらい下かな?今の「フェミ」認定みたいに。

 

 

 オタク男性は単にオタク趣味を持ってるだけの男性だ。非オタクの男性より特に加害的とかセクハラが多い訳じゃない。非オタク男性より特に善良だったり誠実だったりもしない。そして、加害性を出す場が少し違うだけだ。

 痴漢やセクハラ野郎は、みんな一見普通の男性だった。見るからに怪しい人はいなかった。趣味までは知らない。

 

男性オタクに苛められてたこと絶対に忘れないから 追記

 

 上記増田に自分がつけてたブコメ

  女はイケメンさえ出てればいいミーハーか、なんでも「ホモ」にするモンスター扱いだったよね。/オタクは弱かっただけで別にヤンキーやジョックより特段善良な訳じゃないのに、「俺ら優しいのにな」って顔はするんだ 

2019/03/25

 

 

『自由戦士』改め『聖騎士』改め『表鬼』とか。

 

 前回記事の『表現の自由戦士』という呼び名について触れた部分:

 巨乳表象を使った広告への批判を「胸の大きな女性が叩かれて(差別されて)いる!」と短絡し、批判者を貶して「巨乳の味方」のつもりでいるらしい奴ら、

 人権全般を疎みながら自由権を掲げ、広告含む表現への批判・批評を「表現物を焼く」「放火」「殴る」などと呼んでガチの規制との違いを考えもせずに黙らせようとし、女体のエロ表現を場所を選ばずに消費する権利こそが「表現の自由」だと主張する奴ら、

 少しでも気分を害したらイナゴのように群れて攻撃し、攻撃するにもネットミームを貼るか誰かのコピペを繰り返すか口コミレビューを荒らすことしかできない奴ら、

 が、心底嫌いで、その手の輩を『表現の自由戦士』と呼ぶことがある。

 他の人とは違う使い方かもしれない。

 

 トゲトゲしいですね。このような害悪性の高い人物像に「表現の自由」を結びつけられたことで気分を害された方、大変失礼しました。

 表現の自由は私も極めて大切に思っており(てか基本的人権だし)、不断の努力で守っていきたいものです。

 

 5/1の記事で付けた『聖騎士』も確かに、ヤマーダクエストの専売特許って訳じゃないんだよな。2番目、3番目のタイプを合わせて『表現の餓鬼』と呼ぼうかな。『表鬼』とか。

 

 表現の餓鬼とは、批判も言論であり表現であることさえ分からず「イチャモンつけるな。【表現の自由】」と必殺の呪文を叫び、何か喋ったと思えばショボい教祖のご託宣のコピペか罵倒語か差別用語くらいしか発せず、漫画家が精魂込めて描いた絵を文脈も気にしないまま人をおちょくる武器にする、ただところ構わずエロ表現を貪り食うお楽しみにケチつけられたくないだけの、エロ開陳マーキングと女叩きを生きがいとする幼稚で攻撃的で粘着質なイキった奴らをいう。なぜか集団行動が好きで、よく群れる。

 簡単に言い換えると、「表現の自由が公権力からの自由をいうことすら知らずに【表現の自由】を振りかざす、エロ開陳マーキングと女叩きを常とするイキりミソジニスト集団」が『表鬼くん』だ。群れて護エロの鬼となれ。

 

 ミサンドリストの攻撃性も大概なのだろうが(なんかオス氏ねとか言ってるのがたまに見えて怖い)、そちらの被害の実態は私からはよく見えない。見えている人お願いします。

 というのも、私は女性としてミソジニストによる加害を目のあたりにしてきたが、ミサンドリストの被害に遭ったことはない。当事者ではない者が当事者を差し置いて語るのは、必ず歪みを生む。

 その話は以下で。

 

 上に書いた1番目のタイプは性質が違うことに気づいた。これは、当事者でもない奴が勝手に「本当の○○」鑑定士を気取ることへの積年のムカつきだった。

 広告への意見や立ち位置は若干違うけど、この手の輩に対する腹の底からのムカつきは共通している面があるので、id:hepta-lambdaさんの記事を貼らせていただく。

 

「月曜日のたわわ」広告記事へのブコメを起点としたlegnum氏とのやり取り - hepta-lambda’s blog

 記事につけたブコメ。

当事者でもないくせに、オレ流「本当の○○」像を押し付けてくる奴、ほんと腹立つんすよね。「女の喜びとは」「巨乳というものは」「真のフェミなら」みたいな、お前は何の立場でジャッジしてんだよって奴、まじ嫌い

 

 「結婚して夫と同じ姓になるのが女性の幸せだろう。不幸な女が別姓を望むんだ」とのたまう男とか、

 「男の前では賢しげにせず、一歩引いて男を立てるのが本当に頭のいい女」とご高説たまわる男とか、

 「本当のレイプ被害者なら、そんなふうに顔を上げて笑ったりできないはずだ」という男(しかも加害者)とか、

 「たわわは巨乳女性のエンパワメント。4巻を読めばきっと共感できる」と絶賛する男とか、

 「○○さんこそ真のフェミニスト。他のやつらは似非フェミ」と鑑定するアンチフェミとかね。その○○さんだって有難迷惑なんじゃないか。しらんけど。

 

 ※ちなみに、胸が大きな女性の一人として、たわわ4巻はエンパワメントにはなりませんでした。女性の同級生からのセクハラ(行為・言葉どちらも)がえげつなく、精神的ダメージを受けかねません。私は全くおすすめしません。表紙で嘘だと気づくべきだった。同性に胸を鷲掴みされるエンパワメントとは如何に。

 

実際、表現の自由の話なのか?

 

 実は、萌え絵広告案件が「表現の自由」の問題だというのが腑に落ちていない。

 憲法上の表現の自由は侵害されてなくない?

 赤十字のコラボ第一弾のポスターが炎上した後も、宇崎ちゃんの単行本は普通に買えるし連載も続いた。アニメ化もしてた。第二弾のポスターは好評だった。戸定梨香はYouTubeで普通に活動してる。

 自分の性器のスキャンデータを不特定多数に送信した芸術家のように、表現者が逮捕されて有罪になったりしてはいないし、宗教的虐待の被害者の実体験をレポートする漫画のように、宗教団体の苦情によって出版停止になったりもしていない。

 

 広告の受け手が、それぞれの思想信条や良心に基づき、表現の自由言論の自由を行使して、広告表現を褒めたり批判したりする。

 批判に広告主が納得すれば(いかなくても商売上の判断か何かで)広告を取り下げることもある。納得がいかなければ「このような理由で適切だ(少なくとも、不適切ではない)と考える」と反論するか、無視してそのままなだけだ。

 広告の受け手が口々に「不適切だ」「不適切とまでは言えない」「今すぐ下ろせ」「もっとやれ」と好き勝手な声を上げたところで、決定権は広告主と広告媒体にしかない。責任と商売を勘案して、決めるのは彼らだ。

 

 広告を下ろしたとき、コラボ作品には、よく分からずに問題ある広告に使ってしまい、ごめんなさいと謝ってるのかな。納得いかないけどクレーマーが煩いからさぁ、となだめてる?

 個人的な好みとしては、広告主や媒体に は、納得いかない批判には「このような理由で適切だ(少なくとも、不適切ではない)と考える」と反論してほしい。一回やると決めたんなら、最後まで守ったれよ。

 

 

 ※議員連盟や国連機関という「権威」的なところが口出しをしてくるのはどうなん、って懸念はある。国連女性機関については、「たわわ」広告が掲載されたのがアンステレオタイプアライアンスの設立者ではないメディア(読売とか?)なら放置してたんじゃないかな。国連女性機関と日本経済新聞社の間の規約の内容については、外野には知りようもないし、興味も特にない。日経がいつ態度を決めるかは注視してる。

 議員連盟、てか戸定梨香案件については、長くなりそうなのでいずれ。

 

 

自主規制も規制だよな?

 それはそう。ただ、公権力や行政だけに任せるよりはマシだと思う。逮捕(有罪)orセーフ、有害図書指定orセーフ、誰がいつ落ちるか分からない2択のチキンレースとか怖過ぎる。

 

 同人でよくあるゾーニングやレーティングは自主規制だよね。

 商業媒体の表現も、我々のところに届く前に、既に自主的に規制/配慮されている。

 

 津波にまつわる作品を公共の電波で流すななんて法律はないけど、被災者の心情に配慮して、サザンのTSUNAMIジブリ崖の上のポニョはあまり放映されない。

 世界各地で悲惨な紛争や戦争が起こっているけど、日本のメディアでは、現地画像から遺体が映った部分にボカシを入れたりしている。

 どちらも自主規制だよね。

 

 某牛丼チェーンのマーケティング役員が社会人講座で発した「生娘シャブ漬け戦略」発言が問題になったとき、NHKは「若い女性を薬物中毒にするような企画」と表現を変えた。

 Twitterでは、(完全に自己責任の同人ならともかく、)企業として出版する「シャブ漬けは商業では無理」といわれた、という証言があった。

 どれも、企業内部のコードに即した、つまりは自主規制だよね。

 ※ただ紙の同人誌は、印刷所によって消しやボカシの規定があるという。これはウチでは刷れません、猥褻物頒布の幇助になっちゃうから、みたいな。ここは法的規制かな。

 

 TwitterやPixiv、YouTube等にも規約がある。はてなにも。法律に違反してなくても規約違反の「創作物」はBANされ、投稿者はアカウントを凍結されることがある。彼らは公権力ではないから、これも自主規制だよね。

 (TwitterYouTubeのようなインフラに近くなっている企業による規制は、実質的に表現の自由を制限してはいないかって論点はあるけど、話が膨らみ過ぎるし、語れるほどの知識はない。なんかイーロンマスクとかごちゃごちゃしてるし。詳しい人いたら頼む)

 

 映画には映倫がある。刑法175条の今の運用だと「性器を見せたら猥褻」となっているみたいだから、性器が映ってなければ法律違反ではない。でもさ、子供と一緒に観る映画でいきなりのゴア表現とか、嫌じゃん。

 映倫の詳細な審査基準は知らないけど、この描写だと何歳以下には見せるべきではないと判断してるよね。自主規制だね。

 

 既にそこにある自主規制には規制と気づいてない。それが「当然」と思ってるだけ。

 そういえば、少年漫画誌で女の子の乳首が描けなくなったのは、90-91年に起きた宮崎勤連続幼女殺害事件がきっかけだそうな。漫画の女の子の乳首を隠すことに何の意味があるのか分からないけど。女の子の乳首だけ隠れてる状態(他は裸)って、乳首描いても何も変わらなくないか?謎。

 

 これらの自主規制または配慮は、企業としての社会的責任を果たそうとしてのことだと思うよ。まあ後、あまり場が荒れると人が逃げて、商売に差し支えるし。

 

 自主規制も規制だから否定すべき、なくすよう各企業に働きかけるべき、という思想信条は結構だが、私は、一定の自主規制や配慮は必要だと思っている。

 逮捕(有罪)orセーフ、有害図書指定orセーフのチキンレースは怖いからだ。

 

 やりたい人が自主規制撤廃運動をやるのは当然、自由だ。

 週刊少年ジャンプに乳首を復活させよう、みたいな。批判はされるかもしれないけどね。

 

 

内心の自由

 増田に書いた記事は他にもあって、表現の自由内心の自由とかかな。

 参考資料として、広島県の人権啓発資料から必要箇所だけ抜粋したスクショを載せる。

 

 

 

 引用元はここの自由権に関するPDF。

人権啓発冊子「思いやりと優しさのハーモニー」について | 広島県

 ふりがなもあり、説明も平易な日本語で書かれているのでオススメ。私もこれで勉強しました。

 

 ちなみに、このブログからリンクを貼る増田は、私のきれいな(というか人に見せられる)部分だけで、『表鬼くん』の中でも質の低いのをチェリーピックして溜飲を下げるような悪趣味さや、夫や猫と暮らす幸せを書いた惚気などは、増田のままに留めておく。

 まあそういう部分、はてブでも特別に隠してはいないんだけど。書いてる自分は一緒だし。

 ちなみに、夫の外見を私はとても好きだけど、モテ系か非モテ系かでざっくり分けたら非モテ側に入る。私自身もそうだ。※猫はかわいい。😺

 痴漢やセクハラやナンパはモテではないんだ。女体しか見てないんだから。男性に告白されたことは(『たわわ』に出てくる、告られまくり振りまくりのアイちゃんと違って)、片手で足りるほどしかない。

 

記述の中の事実と感情。

 田中辰雄氏の調査から数字を挙げ、イラストの読解を説明した時に、不快に思うほうが正しい、性的に見えるほうが正しい、とは書いていない。「たわわ」広告の絵が不快だと思った、とも書いていない。言ってたら「ここ」と摘示してほしい。

 

 前記事で、

たわわ広告のイラストに含まれる男性の性的視線に、女性の45.6%は気付くのに、男性は22.5%しか気付かない。

 男性の5.8%しか不快に感じない絵を見て、女性の23.5%は不快に思っている。

 と書いた。不快に思った人は男性の5.8%、女性の23.5%だよ、男性目線のいやらしさ、男性の性的視線(まだるっこしいので、以下MG)を感じると答えた人は男性の22.5%、女性の45.6%だよ、と数字を上げただけ。

 「しか」という言葉遣いに私の感想は滲んでるかもしれないが、読み手はその感想を受取拒否したっていい。数字だけ見て、自分の感想を持てばいい。

 

 ※ 書きながら考えを整理してるんだけど、MGを感じ取り、更にその度合いが閾値を超えると捉えた人が「感じる」人、と今は考えているこの考え方については、後日説明したい。

 

 この絵(右手のボタン、左手の位置、表情)はこういうふうに読めるよと解説しただけ。それに気づいて、胸元のボタンが外れた女子高生を観賞する行為は不快だと思う人も、「意味深でえっち。いいね」と思う人もいる。そこは価値観だ。

 

 映画評論家の伊藤弘了氏は、

 ロゴのフォントの丸みや、「わ」の右下の二本線は何を示しているのか、大抵の日本人は了解できるはず、という趣旨のツイートをした。だから悪いとか、だから止めろとは言ってないのに、Togetterにまとめられた反応はひどいことになっている。

 「月曜日のたわわ」ロゴの表現力を解説した映画評論家さん、「言い掛かりだ!そんなこと考えるのはお前がスケベだからだ!この規制派のクソフェミめ!」と誹謗中傷を受ける - Togetter

 

 書いてあること(記述)をそのまま、価値判断なしでいったん受け止めることを試してみてほしい。記述の中の事実と感情を分けるというか。

 「次の信号が赤になりそうだ」

 「(む?こいつは敵側陣営のはず。なら何かおかしなことを言っているのだろうな。)赤信号で止まる気がないというのか!」

 みたいな反応はお互い疲れる。

 

 グラフの読み方にしても、たわわ広告イラストの読み方にしても、私のものより妥当な読み方を示してくれると嬉しい。別に勝ち負けとか陣営の戦争とか興味ないし、私は情報の対称化を目指しているだけなので。

 

レモンでもユズでも好きなほうを。

 やっとタイトル回収?話がなげーよ。

 「レモン市場」は経済学の用語で、私の理解だと、各プレイヤーの持っている情報の非対称性が選択肢の決定に偏りをもたらすようなマーケットをいう。

 レモンとユズの見分け方を知ってる人と知らない人がいたら、知らない人は、本当はユズがほしいのに、いつもレモンを選んでしまうかもしれない。見分け方を知っている人はユズでもレモンでも好きな方を選べる。そんな感じ。

 経済学でいう「市場」みたいに売り手と買い手がいるわけじゃないけどね。経済学は昔かじっただけなので、専門家から見るといい加減なと叱られるかもしれない。詳しくは検索するなりして、正しい知識を得てほしい。

 「その情報があれば違う意見になる」ってこと、あるよね。

 意見が違うのは当たり前だ。他者と意見が同じになることのほうが不思議だ。

 ただ、判断材料は多いほうがいいよね、ってだけ。

 

追記。-->

ブクマで

レモン市場の理解が変(で、そういう用語を無理に出す必要もない)では。情報の非対称があるとレモンとユズが選べない、ではなく、市場から良いレモンが駆逐されたり、酷いと市場そのものが消えるという、"市場の"話

 とご指摘をいただいた。確かに、経済学用語の「レモン市場」の焦点は、個人の選択云々より市場そのものなんですよね。レモンには不良品の含意があるから、本当はそこもよくない。

 個々人の意見に優劣はない。だけど情報が足りないと本来望む選択肢が選べない。だから情報の非対称性をなくし、判断材料を増やして、自分が本当にしたい判断に辿りつきやすくしよう…ってことをキャッチーに言いたかったのだけど、下手ではあった。

 ご指摘を掲示して、訂正の代わりとさせていただきます。アカロフ先生ごめんなさい。

<-- 追記終わり。

 

 意見の違いそうな他者の事実の記述(意見や解釈ではなく)を受け入れたり、「わの右下の二本線」の意味がわかると自白したりしたら負けとか、そんなふうに思わなくていいと思う。少なくともそんなふうに私は思わない。

 繰り返すけど、こんなのはナントカ陣営の戦争なんかじゃない。戦争ごっこを煽ってはゲラゲラ笑って儲けてる邪悪な武器商人に手を貸す気はない。

 ネットの限界集落はてな村にレモン市場を作りたくない。長年世話になってるしな。

 

 

もぐらと巣穴と広告と

 

 「表現」案件周辺でよく見る、もぐらのイラストがある。


f:id:nowa_s:20220503140553j:image

 

 

KEN-KEN on Twitter: "自称フェミニストの創作物批判について簡単なイラストにしてみました… "

 

 巣穴で好きな本を読んでいる幸福なモグラを地上に引っ張り出して、関係ない「第三者」の目に晒したのは誰なのか。このイラストでは「自称フェミニスト」と書いてあるけど、実際は、広告という行為なんじゃないかな?

 「フェミニスト」は精々が地上で見てるモグラの一匹。もちろんフェミ以外にも、いろんな人が見てる。オタク文化に興味のある人、ない人、オタク文化が嫌いな人。「萌え絵」が好きな人、好きではない人。そしたら望まぬ反応も出てくるよ、フェミ以外からだって。

 

 私が日経「たわわ」広告だけじゃなく、公共萌え絵広告案件に感じるのはだいたいそれ。

 「萌え絵」にはMGが一定以上含まれる。

 たとえ自分は好きでもなんでもない作品だって(最悪に気持ち悪いと思う作品だって)、そんな無神経に晒し上げられていろんな人の感想がぶつけられることになったら、気の毒に、と思う。自分の好きな作品がそんなことになったら嫌だし。

 上にも引用したけど、前回記事で書いた「隠れているオタク女性を晒し上げてはおもちゃに」されていた記憶が影響してるのかもしれない。

 

表象=レペゼン

 表象とは、哲学とか心理学とか文学とかヒップホップとか、いろんな分野の用語。

 私が「表象(representation)」という言葉を使うときは、なにかの概念を代表する像とその働き、みたいな意味で使っている。絵やイラストに限らない。実在の人物も表象になるし、俳優が演じる映画の登場人物も表象だ。

 レペゼンといったほうが通る人もいるかも。

 

 「子供」と言ったらどんな像を思い浮かべるか。それは男の子?女の子?メガネかけてる?走るの速そう?「医師」「政治家」といったら?そんな感じ。

 「○○とはこういう存在だ」という概念を象徴的な像や物語に表したものをひっくるめて、表象という。

 

日本人の表象(戦時中)

 


f:id:nowa_s:20220502211149j:image

 

 この絵は、戦時中にアメリカがプロパガンダのために作ったポスターだ。

 旭日旗のついた軍帽をかぶり丸メガネをかけ、奇妙に黄色い肌、細い吊り目に出っ歯、八の字の口ひげ、尖った耳(エルフやゴブリンみたいに、非人間的な印象の強調かな)の人物が描かれている。当時の日本の首相、東條英機がモデルと思われる。表情の意味はよく分からない。笑顔でも怒りでも悲しみでもない。東アジア的といわれるアルカイックスマイルなのかも。

 英語で、「ジャップ(日本人を言う差別語)に出くわした時のために!」「ロープを首に、端っこ持って、ひっぱれ『キュッ!』」といったようなことが書いてある。

 

 戦争が終わって80年近く経った日本に住む私は、この絵を見ると、絵に込められた悪意を感じる。不快にはなる。offensiveだと思う。ただ、切迫した危機感はない。

 しかし、当時アメリカに住んでおり、圧倒的マイノリティだった日系人はどう感じたか。想像することしかできないけど、すごくすごく怖かったんじゃないか。

 アメリカでは、自分たち日本人はこんなふうに見えている。出会い頭に絞め殺してやればいい、人間じゃない生き物に見えているんだと思って。軍人じゃなくても油断はできない。

 これは戦時中のアメリカが、日本人に振り当てた表象のうちの一つ。

 

「弱者男性」の表象

 

「自分に近い目線の表象が少な過ぎる」って男性からすれば当り前過ぎて何が問題か分からない。特に弱者男性は存在自体がすべて「ないこと」になってる。自分に近い目線など最初からない。そう言ってもすべて無視

 

 この「表象」はどんな意味で使われているのか、ちょっと掴めない。

 男児も女児も見る子供向け作品のメインキャラって、男が多くない?アンパンマンは男性だよね。女児向けなら女の子、男児向けなら男の子、それは分かるけど。

 先の東京五輪の開会式には、当時の菅首相が代表として出席したけど、男性だ。日本のゲームが次々紹介されたけど、キャラの性別は男ばかりじゃなかったっけ。

 五輪には関わらなかった任天堂のゲームで著名なものを思い浮かべる。その作品を象徴するメインキャラの性別は男だ。マリオ、ピカチュウ、リンク。(そういや、ピカチュウにオス・メスがあるってこないだ知った。しっぽの形が違うんだそうだ)

 男性には普通に多様な表象があるのでは、と思うけど、どういう意図があるのかどこかで教えてくれるとありがたい。

 

 で、「弱者男性」の表象がないという問題意識の提示、嬉しいです。私も「弱者男性」像を思い描けない。のび太とか最強伝説黒沢かな、などと想像するくらいで。

 当事者ではない私が外からいくら想像しても、当事者にぴったりくる例は出せない。「弱者男性」とはこんな人、という、少なくとも当事者にとって違和感のない像が生まれたとき、「弱者男性」問題も何か前進するのかもしれない。

 あるいは、「俺ら弱者男性をそんなふうにばかり描くんじゃねえ!」みたいなムカつく像をバチボコ叩いているうちに。

 

オタクの表象


f:id:nowa_s:20220504101731j:image

 

 オタクの表象は、近年すごくポジティブに塗り替わったものの一つだと思う。

 オタクという言葉は、宮崎勤という幼女連続殺害犯(1989年逮捕)や、ベットリした髪で粘着質な喋りのビジネスオタクの宅八郎(1991年よりTV出演)の表象と共に日本に普及したようだ。

 Wikipediaの「宅八郎」から。

お茶の間に宅自身とそれが演じる"オタク"に対する強烈な印象を与えた。ただし、この宅が扮装した「オタク」の格好は宅自身の嗜好に基づいて選ばれた服装ではなく、戯画的にオタクを演出するために、あえてダサイ服に着替えていたものだった。

 

 そういうオタク表象が一般的だった時代は、オタクとして生きるのは辛かったろうと思う。

 が、95年放映開始のエヴァが社会現象になり、しょこたんがオタクの表象になり、2022年のオタクはカジュアルだ。アニメやアイドルが好きなだけで白眼視されることはなく、中高生たちは、推しのぬいや缶バッジをつけた痛カバンで通学している。いい時代だと思う。

 

「表現と現実は別」の意味

 昔は私も、「表現(漫画とかね)と現実は別だってことくらい分かってる」と思っていた。

 ただ、実際、具体的にどういう意味なのかはいまいち分かってなかった。「生き物に電源スイッチはない。死んだらもう生き返らない」とか「"気"を集めてもかめはめ波は打てない」とか、当たり前じゃん、そこまでガキじゃねーよ、くらいの意味で捉えていた。

 それくらい分かりやすいことばかりならいいけど、そうでもないんだよな。

 

 今この記事を読んでくれている人の中に、「女の子たちは更衣室でおっぱいの大きさを比べ合い、一喜一憂している。巨乳は誇らしげだが、貧乳はガッカリしたり羨んだりしている」「若い女の子をちやほやしたらババアに邪魔された。嫉妬してるんだろうな」とか一瞬でも信じていた(いる)人はいないかな。

 

 たまにネットで見る絵だけど、

 

 カバンを何の気もなく斜め掛けにしていた女性が、「僕らはパイスラに夢中!」というコピーのついた「萌え絵」イラストを見て、青ざめた顔で胸元を隠す。

 私なら「この人は、自分が普通にしていた行為が、パイスラと呼ばれて男性からいやらしい目で見られるのだと気づいたんだな。これからは平気では出来なくなるんだろうな」と解釈する。

 前に、この絵を示されて「自分が絵みたいに胸が大きくないから恥ずかしがってるんじゃね?」とリプしていた人がいた。はあ。

 

 こういうの、現実の女性の観察から得た認知なんだろうか?違うならどこから来たんだろうか。漫画やアニメの中の女性表象がその認知のふるさとなんじゃないかな。

 それは偏ってる、現実とは必ずしも一緒じゃないんだとどこかで気付けたらいいけど、世の中にそういう表象しかなく、現実の女性との触れ合いで偏りに気づく機会にも恵まれなければ、そのままだ。

 

 いや、偏ってたってそれも人生だし、悪くはないけど、現実とのズレに期待外れを感じることは多くなると思う。あと、他人を怒らせやすくなると思う。

 

 怒ってる他人はたぶん、表象の食い違いに怒っている。

 どんな像が自分の属性の一般的な表象になるかで、生きやすさが全然違うからだ。

 

 

 てことで、いずれ続きを書きます。書けたら。

 

*いずれ書きたいこと。

**「巨乳」「貧乳」ということばの虚構性。

 

**MGセンサーの中身。

 

 ***ジャンル判定能力

 

 漫画等の絵を見て、誰向けの、どんな雰囲気・内容のものなのかを把握する能力。ほぼ全ての場合で瞬時に判定が終わる(「詳細は分からないが、自分向けではない」という判定も含めて)。

 

 年齢層:子供、少年少女、若者、大人、シニア

 性別:男、女、特になし(新聞4コマなど。九井諒子あたりもここかな。少女漫画風の端正さもあり、アクションや背景もしっかり描ける青年漫画風でもあり。/クイア向けの絵柄が確立したら項目が増えるのかもしれない。)

 性的指向異性愛、同性愛、BL/GL(自分の性別ではない性別の同性愛。GLは分からないけど、BLはなんとなく女性異性愛者向け全般とは違う、特有の絵柄の傾向がある気がする)。

 内容・雰囲気:バトル・アクション、恋愛、ラブコメ、ギャグ、お仕事、スポーツ、ホラー、風刺、ハウツー・学習、実話投稿系、18禁ポルノ含むエロなど。

 

 漫画を好きでよく読む日本人なら、たまにミスっても、大抵は間違わずに判定できると思う。

 佐々木倫子惣領冬実のように女性誌から青年誌に活動の場を移したり、ゆでたまご荒木飛呂彦のように読者とともに歳を取って少年向けから大人向けになったりと越境も頻繁だし、絵という非言語表現なので、判定の基準を言語化するのは難しいけど。

 ただ、エロは分かりやすい。対象の肉体を賞玩できるよう、陰影や質感の描き込みによる性的な誇張表現が精緻に発達している。肉感的といえばいいのかな。

 

 同じミニスカートの制服を着た女子高生を描いた絵でも、恋愛や部活に打ち込む青春少女漫画のキャラを、『たわわ』のようなタイプの若い男性向けソフトエロ漫画のキャラと勘違いする読者はほとんどいないんじゃないか?少なくとも、お金を出して読むレベルの興味があるなら。

 たわわやふたりエッチがどんなタイプの作品か、レーベルやタイトルを確認しなくても、初見で判断できるんじゃないかと思う。

 

 このセンサーの精度が低い人には、ジャンルが分からない。現代人が日本画を見て、江戸時代の絵かな、くらいは分かっても、武家のために描かれたのか、商家なのか、寺院なのかをタッチからは見抜けないみたいに。(少なくとも私には分からない。センサーがボロい。)

 そこはやっぱ慣れなんだろうな。

 

 センサーの精度は高いか低いか。「性的」と判断する閾値の設定が高いか低いか。で、「男性目線のいやらしさ」を感じるかの結果が変わってくるのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

見えてる世界が違うこと。

当初投稿からの補足を、紺色の文字で追加してます。

はじめに

 2022年4月4日、新年度最初の月曜日に日経新聞の朝刊に掲載された、漫画『月曜日のたわわ』の全面広告を巡り、ネットで論議が噴出した。5月になろうとするなった今も、様々な観点からの意見が活発に出されている。

 ブログを始めてみようと思ったのは、ネットの辺境、限界集落と称されるはてなブックマーク(以下、はてブ)の片隅で、その広告を巡る対話の中で書かれたお二人の記事を見かけたことがきっかけだ。お二人というのは、id:Shin-Fedor さんと id:sametasharkさんとのこと。リンクを以下に貼る。

たわわ広告の件での対話と、議論が噛み合わない理由の推論【4/26追記:気になったブコメに返信しました】 - はてブの出来事

【逆視点】id:Shin-Fedor氏との議論で私が考えていたこと。 - 冷めた鮫にはヒレがある。

たわわ対話の件。お礼と感想(追記あり3) - はてブの出来事


 同世代と思われる二人はそれぞれ男性と女性なのだが、言葉ひとつ、現状認識ひとつがお互いズレまくっているようだった。

 なぜそんなふうに捉えるのか?認知が歪んでいるのでは?
 なぜこんなことが分からないのか?とぼけているのか?
 こんな感じで。
 
 お二人の見えているもの、見てきたものが違い過ぎることが、すれ違いの主な要因であるようだ。
 それは、私が以前からぼんやり持っていた問題意識にもどこか通じるところがあった。

男女に見えているものの違い

 ……で、この表を見てほしい。
 たわわ広告に対する意見の例に、「そう思う、やや思う」「あまり思わない、思わない」「わからない/どちらでもない」と答えた人の割合だ。

男性目線のいやらしさを感じる。
性別  思う  思わない  どちらでもない
男性 22.5% 68.2% 9.3%
女性 45.6% 43.9% 10.5%
全体 34.1% 56.0% 9.9%
はっきりいって不快だ。
性別  思う  思わない  どちらでもない
男性 5.8% 83.1% 11.1%
女性 23.5% 64.8% 11.7%
全体 14.7% 73.9% 11.4%
新聞広告としてはやめるべきだ。
性別  思う  思わない  どちらでもない
男性 14.7% 71.8% 13.5%
女性 34.8% 50.5% 14.7%
全体 24.8% 61.1% 14.1%


 ほんとはここでバーンとかっちょいいグラフを出せればいいのだが、それはいずれということで。

 これは、SYNODOSに2022年4月20日付で掲載された田中辰雄氏の記事
「月曜日のたわわ」を人々はどう見るか/田中辰雄 - SYNODOS
 の、図2・図3の数字に基づいて作った表だ。
 ここにグラフを引用させていただく。


[図2]全体


[図3]女性のみ


 ※男性のみのグラフはSYNODOSの記事にはない。数字もわからない。しょうがないから自分で計算した。

 作ってみて、正食驚いた。違いがあるとは思っていたけど、ここまでとは。

 男女という単純な違いだけで、こんなにもかけ離れた結果が出る。これは何なんだろう、と思った。
 思って、増田(はてな匿名ダイアリー)にだらだら書いていた4月下旬頃、お二人の記事を見て、ブログにしてみようかな、と思った。
 正直、わりとがんばった増田記事があまり見てもらえていないようだった、というのもある。まあコッテリしてるしな。

 リンクを貼っておく。併せて読んでいただけると嬉しい。
SYNODOSたわわアンケートが開いたパンドラの函

SYNODOSの、日経たわわ広告アンケート記事の感想にいくつか補足。 はてな記法..

正直な感想、「たわわ広告に否定的な人は政治的に正しい側で、鋭く正確な..

日経たわわ広告を問題視する人・しない人の特徴と、その考察と、いろいろ。

 増田記事はいずれ編集して、こちらにも転載したいとは思っているが、いつになるかは分からない。


留意点

 たまたま、この問題、田中氏の記事では男女の違いがクローズアップされただけで、他にも違いを生む背景はあると思う。

 田中氏の調査の中でも質問されている、
漫画を読むのは好きか。絵やイラスト、漫画を自分でも描くか。
 自由と正義の兼ね合い。痴漢に厳罰を求めるか。
 どのような男女観を持つか。
 年代。婚姻の有無。子供の有無。

 それから、
 性的指向は男性か女性か、その2択では定義できないか。
 日本で育ったか、外国で育ったか。
 教育歴、趣味、触れてきた文化。
 普段見ているSNS。日常的にR18相当のポルノを摂取しているか。
 ジェンダーセクシャリティの問題、マイノリティの問題への興味の有無。
 とかね。


 あと、大事なことを忘れずにいたい。
統計で分かることは、あくまでも統計的な傾向で、個々の人とは違う。人はそれぞれ、多様な個人だ。


私の見てきたもの

 id:Shin-Fedor さん、 id:sametashark さんに倣い、ある程度自己開示する。
 私の見てきたもの、背景を知ってもらうことが、いま何が見えているかを想像してもらう助けになるかもしれないと思ってのことで、それ以上の意図はない。解釈はご自由に。
 また、一部の記述を消すことがあるかもしれない。


 1980年代生まれ、現在40歳代の女性(生まれた時から)。車社会の地方都市出身。
 満員電車が嫌すぎて、進学も就職も地方を選び、今に至る。

 漫画と小説は昔からよく読む。家族や近所に住む親戚も同じく本が好きだったので、回し読みすることでいろんなジャンルに触れることができていた。
 映画やドラマもそこそこ観る。日本語圏のものは価値観が苦手なものが多く、あまり観ていない。
 アニメは誰でも知ってるレベルの有名どころのみ。自分が子供だった頃の子供向けアニメ、ジブリエヴァ、ディズニーピクサーあたり。
 ゲームはあまりやらない。子供時代はテトリスに熱中したり、大人になってからRPGをいくつかプレイしてみた程度。今はスマホのパズルゲーを1日1回遊ぶ程度。

 親のPCで、95年くらいからネットを見ていた。個人サイトとか、ティーカップ掲示板とか、後に2ちゃんねるとか。

 2ちゃんねるでは主にオタク系板の「住人」だった。
 面白い話題があり、同じ趣味の人もいるのだが、いかんせん2ちゃんは、剥き出しのレイシズムとセクシズムとエイジズムとルッキズムとエイブリズムとミソジニーホモフォビアペドフィリアとマウンティングと、まあなんかそういう、人間の醜悪なとこ全部乗せの場所ではあった。

 自らもオタク趣味を持ちながら女性が多いジャンルや表現を貶め、隠れているオタク女性を晒し上げてはおもちゃにしていた姿の記憶が強く、オタク男性へのシンパシーの低さは、
男性オタクに苛められてたこと絶対に忘れないから 追記
の増田に近い。
 女性専用の板と、数少ない平和な(マターリと形容されていた)板の外では、性別はまず明かさなかったな。

 Twitterやインスタは主に閲覧・情報収集のみで、他人との交流はない。はてブの、短文による一方的な投稿スタイルと★の授受によるユルい承認は肌に合って、そこそこ続けている。

 胸がデカい。小学校4年頃から大きくなり、中1でFカップあった。最大瞬間風速はIカップだが、今は加齢でわりと萎んだ。
 向こうから来る奴にじろじろ胸を見られたり、すれ違いざまに「でかっ」と呟かれたりするのは日常茶飯事だったけど、胸の張りがゆるんだ30代半ば頃からだいぶ減った。年1回くらいはまだある。

表現の自由戦士』について

 巨乳表象を使った広告への批判を「胸の大きな女性が叩かれて(差別されて)いる!」と短絡し、批判者を貶して「巨乳の味方」のつもりでいるらしい奴ら、
 人権全般を疎みながら自由権を掲げ、広告含む表現への批判・批評を「表現物を焼く」「放火」「殴る」などと呼んでガチの規制との違いを考えもせずに黙らせようとし、女体のエロ表現を場所を選ばずに消費する権利こそが「表現の自由」だと主張する奴ら、
 少しでも気分を害したらイナゴのように群れて攻撃し、攻撃するにもネットミームを貼るか誰かのコピペを繰り返すか口コミレビューを荒らすことしかできない奴ら、
 が、心底嫌いで、その手の輩を『表現の自由戦士』と呼ぶことがある。
 他の人とは違う使い方かもしれない。

 『表現の自由戦士』は誤爆巻き込み事故の危険が大きく、不適切なラベルではあるため、他に何か呼び名はないものかと考えている。
 ラベリング自体は、ある傾向を持つクラスタを掴むために必須なので。

 山田議員の著書に掲載されたヤマーダとレドマツのクエストに敬意を表して、『表現の聖騎士』とかにしようかな。連合国の女リベーラを必殺技「行政監督拳」で倒し、いじめられていたかよわい女冒険者ゆうを助けてあげる、あの聖騎士ね。

【最新刊】「表現の自由」の闘い方 - 実用 山田太郎/赤松健(星海社 e-SHINSHO):電子書籍試し読み無料 - BOOK☆WALKER -

「表現の規制派」って、誰だ。

 呼び名といえば、「表現の自由派」対「規制派」という対立構造の名付けには、一方の価値判断が含まれてるよね。「大乗仏教」対「小乗仏教」みたいな。
 別に法的規制なんか求めていなくても、広告を批判したら自動的に「表現の規制派」ってことにされてしまう。
 ただ、これは「萌え絵」とか男性の性的視線に関わる広告表現に特有の現象に見える。
 たとえば、通勤客であふれる朝の品川駅のデジタルサイネージに「今日の仕事は、楽しみですか?」という文言が表示される人材系企業の広告が批判を受けて取り下げられた時は、批判者を「表現の規制派」と呼ぶ『戦士』『聖騎士』は少なかったように思う。


 「たわわ広告を問題視する人」の中には、ガチの規制派もいるとは思う。ワイセツな表現は公序良俗を乱すし、青少年の健全な発達を阻害するから、法や条例でガチガチに厳しく規制しろというような。政治家でいうと、山谷えり子とか高市早苗とかあのあたり。

 私はそのような規制派には賛同しない。表現への法的規制、権力による表現の自由の制限はできる限り少なくあることを望んでいる。多様な他者と合意を形成していく努力の中で、そのときそのときに妥当な自主規制及び配慮を行っていくのが望ましいと考えている。

 多様な他者が共存する社会の中で、自由には責任が伴う。「表現の責任派」「表現共存派」くらいのつもりでいる。

 




 さて、ここから先は具体的な性被害・ハラスメントの記述があるので、きつい方は次の見出しまで飛ばしてほしい。


性被害、ハラスメントなど

 記憶にある初の痴漢は小学6年生の春、バスに乗っていたら、後ろから手を伸ばしてきた奴に胸を触られた。隣には伯母が座っていた。その瞬間はショックだけがあって、されていることの意味が分からなかった。その時の天気や自分の服装、戸惑いなどの感情は今も覚えている。

 通学路に「ちかん注意」という看板がずっと立っていて、露出狂が出たらしい、という噂は絶えなかったが、逮捕されて罰を受けたという話は特になかった。
 知らない人の車に乗ってはいけない、と教わっていても、実際に声をかけられた人はどれだけいるのかな。周囲の女子は7~8割くらいは遭っていた。男の子のことは分からないけど、あるよね、きっと。

 通信手段のメインが固定電話と郵便だった時代、母や姉や私が出るといやらしいことを言ってくる悪戯電話が何度もあった。父が出ると切れる。

 電話といえば大学時代、私と姉は実家を出ていたけど、「お宅の娘をレイプして殺してやりたい」と男の声でまくし立てる電話が何度かあり、親が高機能電話機を導入。録音し、警察には相談したようだけど、被害届は出していないらしい。着信拒否設定をしてからはどうやら何事もない。
ところで、ナンバーディスプレイや着信拒否機能つきの電話機の普及で、個人宅の悪戯電話は絶滅したんじゃないかな?お客様センター等、応答者が切るに切れないことに乗じた悪戯電話はまだ多いと聞くけど。

 時代は戻るが中学生の頃、ちょうど(巨乳グラドルの)細川ふみえがブレイクし、男子によく胸をからかわれた。女子にもカップを聞かれたり触られそうになったりしたな。女子からのセクハラは20代の始め頃まで続いた。

 男子の中でスカートめくりが流行したのも中学生の頃。ちゃんと怒る女子に比べ、私はのろまだったので、よくターゲットにされた。流行はいつの間にか収まったが、やった奴らはクラスの男子の過半数を越えている。小学生のときに私を好きだと言ってくれた男子も加わったのが悲しかった。
 英語の授業に「母音」が出てきたときは、ニヤニヤ笑ってこちらを見る奴が大勢いた。気づかないふりをした。

 高校のときは、同じ学年で女子の制服(ジャージだったかも)が盗まれたと聞いた。ただ、この頃はクラス内のセクハラはなく、そこは快適だった。
 街の書店や図書館に行くと、妙に距離を詰めて密着してくる男たちがいて、気づいていないふりをして逃げた。幽霊や妖怪への対処法もそんな感じらしいね。
 店の入口で待ち伏せされて、「○○高の子だよね?車で家まで送ってあげようか?」もあった。逃げた。

 大学のとき、胸だけを盗撮された。知人から「出回ってたよ」と聞いた。服装や胸のサイズで分かったと。そうか、と思ったが何もできなかった。
 公園や美術館等に行くとおじさんたちによく声をかけられた。記念写真を撮ろうといって、馴れ馴れしく肩を抱こうとしてくるやつもいた。勝手に撮って、写真送ってあげるから住所教えて、とか。

 学生の間、賃貸物件で同居していた姉も胸が大きいのだが、彼女の被害もよく聞いた。何かの機会で壇上に立って話したら、感想に胸のことについて書かれていたりとか。電車内でお気に入りのワンピースに精液をかけられて、泣きながら捨てていたりとか。他にも色々。

 忘れられないのは、男に夜中にドアホンを何度も押されたことかな。ドアの前で何か大声を出していた。姉と涙目で身を寄せ合いながら、人生で初めて110番にかけたけど、指が震えてうまく押せなかった。お巡りさん達の聴取によれば、姉を見かけて尾けてきたんだと。被害届は出してない。警察官が、「もうしないよう、こちらでよく注意しておきますから」と言うので。

 幾つかのバイトもした。
 肩を抱きながら指導されたり(無表情でやんわり払い除けた)、社員に着替えを覗かれそうになったり(冗談だよと笑っていた)。
 ものを手渡しするとき、偶然を装って胸に触られたり(同じ奴だけに何度もやられればさすがに偶然じゃないと分かる)。二人だけのシフトのときに口説いてきたり。

 就職の健康診断のとき、レントゲン技師に、「そこに胸を載せてください」と言われた。思わずまじまじと見たら「あ、顎です」と訂正。周りの女性は微妙な表情をしていた。
 出張で乗った自由席の新幹線で窓側席に座ったら、ガラガラなのに通路側の席に座ってきた男に一区間のあいだ話しかけられ続け、降りざまに太腿を撫でられた。
 夜、バス停に一人で座っていたら、酔っ払った男に「大人のお付き合いをしませんか?」と声をかけられた。
 電車を乗換えてまでつけてきた男に「お茶しませんか。あなたみたいに痩せ過ぎじゃない人、いいなと思って」と声をかけられた(婉曲に言ったつもりか?)。
 自宅の近所で一度道を聞いてきた男(その時も髪がどうだのキモかったのですぐ切り上げた)が、後日待ち伏せして、「覚えてます?」と腕を掴んできたこともあった。走って逃げて、その足で交番に行ったけど相談止まりで、被害届は出してない。次にそんなことがあったらいつでも110番してほしいと言ってはくれた。


些細な攻撃 ※ただし些細ではない。

 私の胸が大きくなり出してから、
 男も女も、胸が机に乗ってるよと指摘してきたり(だからどうした)、
 縄跳びとかでジャンプしているところを凝視したり、
 ボインちゃんだのホルスタインだのあだ名をつけたり、陰で「ほら、あの胸の大きい子」と呼んだり、「○○が『胸っていうか単なるデブじゃん』と言ってたよ」と教えてくれたり。
 「だっちゅーの、ってしてみてよ」と要求したり、「(巨乳が売りのタレントの)○○とどっちが大きいの?」とか「何食べたらそんなに大きくなるの?」と聞いてきたり。
 「巨乳は栄養が胸に行くから頭が悪いんだって」という豆知識を無邪気に開陳してきたり、「で、感度のほうは?」と直球キモ発言してきたり。
 「あ、おっぱいが喋ってる」とかもあった。思い出すと芋づる式に思い出すな。

「巨乳」という珍しい生き物

 「巨乳」という珍しい生き物はまともな人間ではなくて、何をされても気にしない、許してくれる、どころか構われて喜んでいる、と思われているのかもしれない。

 今の若い子に、「たわわ」とかあだ名をつけられた子がいなければいいなと思う。身体の特徴をあげつらわれ、その部分が自分の代名詞であるかのように扱われるのは辛い。


黙っている、話さない=被害を受けたことがない、ではない。

 話を性被害に戻す。
 私一人がいま思い出せるだけでこれだよ。私は特別に悪質な被害には遭っていない。電車通学していた人のように、毎日のように遭っていた訳でもないから、被害体験としては軽い方だと思う。
 ちなみに、私は4つの地方に住んだことがあり、そのいずれでも被害に遭っている。被害体験のひとつは5つめの地方、旅行先の話だ。

 私も家族や友人・知人に何もかも話している訳ではないから、彼女たちが遭っていても、私が知らない被害もあるだろう。
それでもそういう話題になったら、「そういえば私も…」と少しずつ打ち明けてくれるか、自分のことは話さずただ聴いてくれる人ばかりで、私はそんな経験ないな、と否定する人は殆どいない。

 一度も性暴力の被害に遭ったことのない女性は殆どいないのではないかと思っている。遭わずに済んだ幸運な女性も、皆無ではないのだろうけど。


 警察庁の犯罪統計はそれほどあてにならない。
 私や身近な女性は様々な痴漢、セクシャルハラスメント、マイクロアグレッションを受けてきたが、被害届を出すに至ったことは一度もない。つまり、これらの出来事は、統計には反映されていない。
 痴漢の包括的な統計は平成18年からのものしかない。いなかった訳がないのに。それ以前は、統計を取るほどの問題だと思われていなかった。被害者が気にしなければ済む、ちょっとしたイタズラ、迷惑行為だってね。

 数年前、後輩の若い女性が飲み会の席で上司からセクハラを受けたことを告発し、上司が処分されたことがある。あの件はもしかしたら、厚労省か何かの統計には反映されたのかもしれないな。

 けれど彼女のようには声を上げられず、ただ諦めた人は数十倍いるはずだ。私もそうだし、そうする同僚や先輩を見てきた。

 黙っているからって被害を受けたことがない訳ではない。
 被害の傷が癒やされないまま生々しく残っていて、思い出そうとするだけで怖くて、語れない人もたくさんいるだろう。
 性被害を受けたのは女として隙があったせいだ、そんなことを話すのは恥だ、という圧力に口を噤んだり、「お前が痴漢に?お前なんか需要ないだろ」というゲスな決めつけに晒されたくない人もいるだろう。

 私は、後輩の彼女のような勇気を誰もが持てる環境を作っていきたいと思っている。

見えていないものの話。

 日経たわわ広告のイラストを見て、ボタンに気づく人と気づかない人がいる。

 微笑む女の子が右手に持ち、こちらに向けて(見せて)いるボタンのことだ。
 その部品が目に入っていても、どんな意味があって描かれているのか分からないから、「見えてない」んだよね。スマホの小さい画面だったりすると特に。
 胸の大きな女性には、気づく人が多いのではないかと思う。

 あれは胸の圧力で糸が緩み(あるいは切れ)、外れでしまったボタンで、だから左手でブラウスの胸元を押さえている。
 学校や会社についてからの事ならともかく、移動中に縫い付けていたら遅刻してしまう。恥ずかしくて、なぜか惨めで、焦る、普通ならそういう場面を、この広告は誰かの「素敵な一週間」が始まる場面として扱っているんだな、と伝わる。
 絵って、表象って、すごいよね。

胸の大きな女はマイノリティだ。

 「トリンプ下着白書」に、年間売上データから算出した、ブラジャーのカップ割合の推移のグラフがある。
Pink Rabbit Lingerie Blog|一般社団法人日本ボディファッション協会

 2018年現在、Eカップまでのサイズで92%を占める。Fカップは6.4%、Gカップは1.6%しかない。Hカップも項目としては準備されているが、グラフではもはや潰れて見えないし、数字も載っていない。
 トリンプは下着会社なので、商品ラインナップにないバストサイズはグラフに反映されていないはずだ。Iカップ以上の人(と、AAカップ以下の人)は、下着会社のデータの中にすらいない。

 「巨乳」はマイノリティだ。だから、
珍獣扱いして無神経な質問を投げかけても構わないと思うやつがいる。
 かわいらしい「萌え絵」で、恥ずかしい場面をほのぼのした場面のごとく描写しても問題ないし、怒られたら「なんで?嫉妬?」とニヤニヤ言い抜ければ済むと思っている。どうせ相手は「巨乳」当事者じゃないとなぜか信じ込んでね。
 てかなぜ嫉妬すると思った?お前のその認知はどこからきてんだよ。

 胸の大きな女性はただでさえ数が少ない。そして、不特定多数からいつでもどこでも性的に見られるのは嫌だ、と思う女性は、声を上げにくい。上げたが最後、巨乳フェチが寄ってきて被害体験すらオカズにし、おぞましい言葉を投げつけるからだ。私はもうだいぶ図太くなったけど、心の柔らかい、若い女性ならなおさら声を上げにくいだろう、と思う。
 マイノリティであるとはそういうことだ。


制服姿の女子高生は日本の華。

 比喩でどこまで伝わるか分からないけど、制服姿の男の子が笑顔でズボンのお尻を押さえているイラストがあったとするね。
 手で隠し切れなくて、ズボンの生地の裂け目から下着が少し覗いている。「今週も、素敵な一週間になりますように」
 これだったら、日経は広告掲載しないと思う。
 なんでズボンが破けたら素敵なのか、なんで微笑んでるのか、意味わからないし。
 仮に掲載してしまって苦情の声が上がっても、誰も「嫉妬?」「何が問題?」なんて言わないだろう。

 ブコメで書いたことがある。

少女がチアリーダーや応援団の格好でキメポーズ取る絵だったら、たわわ広告も今より批判は少なかったんじゃないかな。少女の行動から直接「不安なんか吹き飛ばすから、元気になって」のメッセージが伝わるので。

https://b.hatena.ne.jp/entry/4718589194699535362/comment/nowa_s


 別にこうするべきとかじゃなく、違和感を減らすなら、ってことね。

 日本ではみんな、制服姿の女子高生が大好きってことになっている。
 制服姿の女子高生は、見ているだけで励まし・癒やしになる、無難なアイコンということになっている。
 (通学中に胸元のボタンが外れたにも関わらず、平然と)微笑んで、少し身体をひねって立っているだけで。

 女子高校生の表象を、単に高校に通う女性ではなく、なにかステキなものを詰め込んだ青春のアイコン、「女子高生」「JK」にしてしまっている。

そうか、本当にわからないのか。

 最初に掲げた表の、

  • 男性目線のいやらしさ
  • 不快
  • 新聞広告として不適切

の男女別の結果は予想外だった。実際に計算するまで、こんなにも見えているものが違うとは思っていなかった。

 たわわ広告のイラストに含まれる男性の性的視線に、女性の45.6%は気付くのに、男性は22.5%しか気付かない。
 男性の5.8%しか不快に感じない絵を見て、女性の23.5%は不快に思っている。
 これはたわわ広告を対象にした調査なので、他の案件(宇崎ちゃんとか、アツギとか、みちかとか)でどうなるかは分からないけど。

 さすがにここまでの差異があるとは認識できておらず、「分からないって、とぼけてんのか?」くらいに思っていた。どうも本当に分かってないらしいと気づいたのは「たわわ」広告以前ではあるんだけど、SYNODOS調査の分析(のようなもの)で、「いや、本当に分からないんだよ」と分かったのは収穫だった。

違いはなぜ起きるのか

 人は、この広告のどこを見てなぜ不快に思うのか、どこに男性目線のいやらしさ(性的な視線)を感じるのか。その詳細まではこの調査結果からは分からない。

 一言に不快といっても、中身は一様ではないはずだ。
 「性的=悪、はしたない」からなのか。
 自分には縁のない、「若者向けのマンガっぽくて低俗な絵柄」だからなのか。
 胸元から外れたボタンを見せて何故か微笑んでいる、理解しがたい姿を見せられたからか。
 性的なイラスト表現は好きでも、脳みそがそういうモードになってないときにぶつけられたからか。
 いろいろだと思う。

 性的と、不快と、不適切の値が必ずしも一致しないことも興味深い。人は様々な観点から何かを判断し、態度を決めている。

 もう少し詳しい視点からの考察は、上に貼った増田のリンクを見ていただけると。そんで、SYNODOS記事の調査結果についてより妥当な解釈があれば、ぜひシェアしてほしい。

 男性目線のいやらしさ、男性の性的な視線の感じ方の男女の違いについては、少し考えるところはあり、いつか記事にできたらと思う。


おわりに

 読んでくれた方が、見えてこなかったもの、見えてないもの。それが少しでも見えてくる一助になれば、幸いです。

 そしてできれば、少しでもこの記事を興味深いと思ってくれた人が、見てきたものを共有してくれると嬉しいです。センシティブな記憶も含まれるでしょうから、決して無理はせず。

 多様な個人が共生する社会から、「見えないところ」を減らしていければと願います。

おまけ。

 ところで、id:Shin-Fedor さんと id:sametashark さんのやりとりは、「たわわ」広告がネットで賛美されていたかどうかが発端だった。

 SYNODOSの田中氏の調査では、問題があると思うか?不快か?新聞広告として不適切か?は質問してても、
新聞広告として適切か?高く評価するか?の質問はないんだよね。
 ので、ポジティブな評価(賛美)がどれだけあったのかは分からない。

 もし、日経新聞であの広告を見た人は誰もあの広告に積極的な好感を持っておらず、精々「問題なし、どうでもいい」レベルで、直接は『月曜日のたわわ』という漫画の売上に繋がらない、なら……。
 一部の不快を買ってまで「萌え絵」広告を出す広告主は今後、どれだけいるんだろう。

 ちなみに、日経の閲読層はこちら。40代以降の中高年層が多い。男女比は不明。
メディアデータ・読者属性 | 新聞広告 | 日経マーケティングポータル
 具体的には、40代以上は日本人全体では63.4%だけど、日経の閲読者では74.3%。いわゆる「老害」寄りになってる。


 「たわわ」広告は、広告媒体である日経新聞の閲読者に売れるかなんて関係ない、不快と違和感を煽る炎上商法に過ぎなかったのかな。
 外野が憎悪を投げつけあって、その騒ぎで知名度が上がればいい、というのが広告サイドの狙いなら、そういう邪悪な手法を私は憎む。

 青年コミック誌のえっちなセックスファンタジーを、わざわざ日経新聞に引っ張り出して、何ヘイト集めさせてんの?
 広告によって、ファンになりようもない人にまで広く届けなければ、作品までが「気持ち悪い」という評価に晒されることもなかったのに。
 広告表現に含まれる性的要素があの程度だったら浮かないような、ファンになりそうな人が多い媒体に広告打ってあげればよかったのに。
 日経みたいな、ビジネス関連の情報を求める老若男女が読む媒体じゃなくて。

 広告は暴力的な行為だ。見る人の注意を奪い、メッセージを伝えようとする。広告表現の受け手にとっても対しても、広告の対象(今回は漫画)にとっても対しても、敬意とか配慮ってものは必要だと思う。
 私自身は『月曜日のたわわ』という漫画を全く評価しないが(女子からのえげつないセクハラが最悪で無理、胸で悩んだり吹っ切れたりする過程さえオナネタのスパイスにしてるように見える)、正直、気の毒に思うよ。


おまけ2。

 実際に当日を含む5日分の日経新聞を取り寄せたid:hepta-lambdaさんの記事より

マジでこの手の騒ぎにおける「俺/私が認めたやつだけが女」ってやつ死ぬほど嫌い。一番嫌い。ふざけんなって思う。

「月曜日のたわわ」広告、実際に日経新聞の紙面を見た感想(ブコメ返信追記その3まで) - hepta-lambda’s blog

 それーーーーーーーー。ほんとそれですよ。
 私が表象(representation)の問題に関心あるのも、ずっとそれなんだと思う。
 他者の目線ではなく、自分に近い目線の表象が少な過ぎるんだ。


これも自分のブコメから。

私も私のデカ胸をいやらしいものとは思わないので、大きな胸を持つ女性の多様な表象が溢れるといいなと思う。AKIRAのチヨコとか、ラピュタのドーラとか、森薫

https://b.hatena.ne.jp/entry/4718649122410368834/comment/nowa_s

大きな胸を性的に描く表現を新聞や公共広告に使わないでほしい」(性的でない表現をしてほしい)を「巨乳を公の場に出すなってことか」に翻訳して「表現の自由だ」で論破したがる人がいるうちは、悲劇は続くと思う 

https://b.hatena.ne.jp/entry/4718722251248215714/comment/nowa_s