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思いついたことや考えたことの記録。ブログの目的は情報の対称化(判断材料の提示、標本収集など)です。雑記やはてブの補完なども。更新はムラあり。

妻との会話を5W1Hで始める夫は何がしたいのか?

 タイトルは単なる疑問文で、この記事に答えはありません。ご存知の方は教えていただければ。

 

 今日2022/5/10のはてブで、

 下のサライ記事をおそらく無断転載したはてな匿名ダイアリー(増田)

[B! コミュニケーション] ――この間、家に帰ったら、妻が見慣れないスカートをはいていた。新しい..

と、増田の転載元の

[B! コミュニケーション] あなたの質問に娘や妻がイラッとして反撃してくる理由【娘のトリセツ】1 | サライ.jp|小学館の雑誌『サライ』公式サイト

で、ブコメがわやわや盛り上がっていた。

ついでに記事の続編。

[B! コミュニケーション] 「心の対話」こそが、娘や妻とうまく交流する方法【娘のトリセツ】2 | サライ.jp|小学館の雑誌『サライ』公式サイト

 

 

 ブクマが盛り上がった記事の概要はこうだ。

 人工知能研究者の黒川伊保子さんのセミナーで、

この間、家に帰ったら、妻が見慣れないスカートをはいていた。新しいのかなぁと思って、「それ、いつ買ったの?」と聞いたら、妻がむっとしたように「安かったから」と答えた。うちではよくある展開で、質問への答えが永久に返ってこないし、会話も弾まない。あれは、どうしたことでしょうか。

と男性から質問があったという。その例を引いて、黒川さんが

5W1H型の質問を受けると……脳は、心の対話のために使う回路を遮断し、問題解決型の回路が強く発火する。いわば、戦闘モードに入るのである。

と、5W1H型質問はご法度だと説明しつつ、「なぜ妻は質問に答えず、不機嫌になるのか。なぜ会話が盛り上がらないのか」を女性で科学者の視点から解説する。

 続編では、〈問題解決型の対話(5W1Hのゴール設定で始まり、問題点を洗い出し、解決で着地)〉と〈心の対話(気づきや感情体験から始まり、共感で紡ぎ、新たな気づきや安心感で着地)〉の違いを述べ、仕事上は前者の対話が必要だが、家族との間では、心を通わせる後者の対話が重要なのだ、と、コミュニケーションを円滑にするアドバイスを行う。

 と、そんな感じの、妻子との会話のぎこちなさに悩む中高年男性を読者に想定した記事であるようだ。

 男女観がかなりステロタイプではあるが(まあサライだし仕方ない)、悩める男性へのアドバイスとしてはよさそうに思ったけど、記事やブクマの反応を見ていて、気になったことがある。

 そもそもなぜ5W1Hの質問から会話を始めるのか、ということだ。

 ※念のためだけど、これは単なるwhyの質問で、責めたり揶揄したい訳じゃない。

 

 夫と妻や娘の会話例にすると、男女の諍いというか紅白グチ・イヤミ合戦を煽りかねないので、性別を問わないHさんとWさんの会話ということにするね。

(記事には母と子供の間の例もあったので、会話を5W1Hの質問で始めるのはMさんやPさん、訊かれるのはDさんやSさんやCさんでもいい。何でもいい)

 

 で。5W1Hが気になるHさんは質問し、Wさんは5W1Hについて答える。

 Hさん「それ、いつ買ったの?」

 Wさん「先週の日曜」

 Hさん「どこで?」

 Wさん「駅ビルのよく行く店で」

 Hさん「いくらで?」

 Wさん「7,000円くらいかな」

 Hさん「なんで買ったの?」

 Wさん「手頃でデザインがよかったから」

 Hさん「そうか」(決済方法や誰と買いに行ったのかも訊いておこうかな?)

 

 この会話の目的は何かということが分からん。HさんはWさんのことなら全部知っておきたいだけ?

 それとも、「いつ買ったの?」とだけ訊けば、Wさんが「これ?先週買ったんだ。駅ビルのセールを覗いたら、手頃なのがあったから。かわいいでしょ。あ、君の夏物も買ったよ。薄緑のポロシャツ。似合うといいけど」とか〈心の対話〉に移行して話を広げてくれるのを期待してる?

 

 最初から、5W1Hに変換せず、「見慣れないスカートだね、新しいの?」と気づいたことや思ったことをそのまま訊いたら、質問=攻撃になるような性格や関係性ではむっとされるだろうけど、大抵は

 Hさん「見慣れないスカートだね、新しいやつ?」

 Wさん「そうだよ、先週の日曜に買ったの。駅ビルで」

 Hさん「ああ、休日出勤してたもんね。あの帰り?」

 Wさん「そうそう、あの日ね、…」

 みたいな、まあどうでもいい雑談だけど、敵対的ではない会話になるじゃん。

 

 訊く側が〈心の対話〉をしたくても、訊かれる側が5W1Hやyes/noにしか答えない場合は、たぶんこんなだよね。

 Hさん「見慣れないスカートだね、新しいやつ?」

 Wさん「そう」

 Hさん「そっか。それ、いつ買ったの?」

 Wさん「先週の日曜」

 Hさん「どうりで見慣れないと思った。どこで買ったの?」

 Wさん「駅ビルのよく行くお店」

 Hさん「もしかして休日出勤の帰り?」

 Wさん「そう」

 Hさん「…」

 

 けっきょく、どっかで お互いが5W1H式の問題解決型の対話〉から、〈気づき・共感の心の対話〉に移行しないとならないと話が盛り上がらないなら、最初から気づきや感情で会話を始めればいいんじゃね、と思うんだけど……。

 なんで5W1Hから始めるんですかね。

 

 参考になる意見として、

[B! コミュニケーション] あなたの質問に娘や妻がイラッとして反撃してくる理由【娘のトリセツ】1 | サライ.jp|小学館の雑誌『サライ』公式サイト

 男同士だと例えば映画で「いつ行ったん?」「先週、公開されてすぐ」「どこ?」「池袋」「IMAXか!いいな!自分も見たいけど時間合わなくて」「絶対見るべき、最高だよ」「いや絶対行くわ」とか。回路が違いすぎる。 

というブコメがあった。ふむふむ。

 これも、「いいな!」の言葉で〈心の対話〉に切り替えてるけど、最初から「いいな!いつ行ったん?」とか「自分も気になってるけど時間合わなくて。いつ行ったん?」と〈心の対話〉モードで始めたほうがスムーズな気がする。

 5W1H式の質問で会話を始める人は、まず何かの事実を(事実の内容に特に意味はなくとも)確定させたいのかな?

気になった物の何らか情報が得たくて、「その服何?」が本来聞きたいことなんだけど曖昧だから「いつ・どこで買った?」と答え易い形で情報取りに行くんだよな。他意は本当に無くて、理解してる人には通じる

ってブコメもあった。なるほど、「答えやすい形」と捉えているのか…。

 

 回路の違い、コミュニケーションスタイルの違いで、良し悪しではないんだけど、見てて不思議な感はある。

 ※しつこいけど、揶揄や非難ではない。何がしたいんだろうな、何でなんだろうな、ってだけ。

 

 なお、引用させてもらったブコメについては、idコールで驚かせないほうがよいかと思ってidは載せていませんが、希望/必要があればブクマ、コメ欄等で教えてください。idを付記させていただきます。